2020年08月

ウィズコロナの時代を生きる−−「正しく恐れる」ことが大事

川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長
 感染症対策の最前線に立ち続けてきた専門家は、新型コロナウイルスの感染拡大をどう見ているのか――。これまで政府の専門家会議の要として国内の対策に当たり、現在も分科会の一員として活躍する川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長のインタビューを、聖教新聞8月29日付け、30日付けの記事を要約しました。

 メディアは連日、各地の新型コロナウイルス感染症の感染者数を報じており、私たちはその増減に一喜一憂しています。
 新型コロナが日本を席巻しだしたのは、今年の2月後半からでした。この“未知のウィルス”も、この半年で多くのことが分かってきました。最近の感染者数だけで見れば、緊急事態宣言が出された時を上回っていますが、2月3月の状況とは明らかに様相が違います。もちろん、感染者数が増えるのは好ましくありませんが、この間、疫学情報や検査体制の拡充、診断方法の精度の向上、集団感染の調査、診療の経験とノウハウなどが積み重ねられています。無症状感染者をはじめ、これまで分からなかった人の感染も把握できるようになりました。そうした数も含まれていることに目を向けないと、「正しく恐れる」の「正しく」が抜け、いつまでも「恐れる」ということになってしまいます。
 また今、数として報じられているのは、その日の検査で感染が分かった人数です。集団感染が疑われる人を大勢検査すると数も増えますが、これは、あくまで検査した日であり、“その日に感染者が急増、あるいは減少した”ことを指すわけではありません。感染者の増減を正しく理解するには、感染者がいつ発症したのかを見る必要がありますが、この発症日ごとで見ると、日本での7〜8月の増え方は、いわば高止まりのような状況で、一部では微減傾向になっていることも分かります。
 世界的にも10代以下の子どもたちの感染者数は明らかに少なく、高齢になるほど重症化率、致死率が高くなることから、この感染症は目下、“大人の病気”と言えます。また高齢者でも糖尿病や腎臓病などの基礎疾患のある方が重症化しやすい一方、発症者の約8割の方は軽症で済むことや“発症した人の約8割は他人に感染させていない”ということも分かってきました。
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日立市諏訪町・産業廃棄物最終処分場計画の住民説明会

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 8月30日、日立市に計画されている産業廃棄物(管理型)の最終処分場の説明会(茨城県が主催)に参加しました。
 県側からの一連の説明の後、質疑応答が行われました。参加者からは、様々の質問が寄せられました。そもそも産業廃棄物の最終処分場をつくるのではなく、廃棄物の減量化、リサイクルなどによって対応すべきだといった意見やそもそも人口減少が進む県北地区につくるべきではないといった意見なども寄せられました。交通渋滞対策や安全対策を求める声や、地下水を中心とする環境を守るためには、計画された日立市諏訪町太平田鉱山跡地に建設すべきではないという意見も多く出されました。

 産業廃棄物最終処分場は、産業の持続的な発展や循環型社会の形成に欠かすことのできない重要な社会的インフラであり、将来にわたり安定的な確保が求められています。
産業廃棄物の処理は、本来民間が行うことが基本です。しかし、民間事業者による処分場の新規設置は、住民の信頼を得ることが困難であることや、建設、埋立て、そして、埋立て終了後の維持管理など、長期間にわたる事業であり、廃棄物市場のへの投資の不確実性などから、設置が進んでいません。茨城県では、管理型最終処分場については、平成16年度以降、新規の設置許可がない状況です。
 現状のまま推移すれば、県内における産業廃棄物最終処分場の埋立て容量が、近い将来にひっ迫することは、必至の状況です。
 さらに、近年多発している自然災害によって発生する災害廃棄物は、大規模災害になると、一般廃棄物最終処分場だけでは処理しきれなくなり、災害廃棄物の受入先も事前に確保していく必要があります。
 その必要性を理解した上で、日立に受け入れる是非を慎重に判断したいと思いました。続きを読む

茨城県内の一級河川、“流域治水”へ転換

那珂川の支流藤井川
 昨年(令和元年)の台風19号被害を受けて、茨城県議会公明党がかねて提案してきた、河川の周辺地域が共同で治水対策に取り組む「流域治水」が、茨城県内でも具体的に動き出します。今までのダムや堤防だけに頼った対策を転換し、遊水池や土地利用制限なども踏まえた増水時の流量抑制、被害リスク低減を図っていくことになります。8月中にも県内の一級河川ごとにに協議会を立ち上げ、それぞれ具体的なプロジェクトをスタートさせます。(久慈川流域治水協議会、那珂川流域治水協議会、鬼怒川・小貝川流域治水協議会、利根川流域治水協議会、霞ヶ浦流域治水協議会)
 「流域治水」はダムや堤防のみに頼らず、遊水池整備や河道掘削、土地利用規制、集団移転促進など、各河川の周辺地域が一体となり治水対策に取り組むものです。国が防災減災総合対策として打ち出し、全国109の1級河川で地域特性に応じた「流域治水プロジェクト」の策定を進めています。
 プロジェクトは「反乱をできるだけ防ぐ」「被害対象を減少させる」「被害の軽減早期・復旧・復興」が共通テーマです。
 氾濫防止では、水田などの貯水機能を活用した遊水池を整備して増水時の流量抑制を促すほか、稼働掘削も進めるなど流下能力向上も図ります。
 浸水リスクの高い地域では開発を抑制します。市町村の防災集団移転促進事業を活用し、住居移転等検討も進めます。また水害リスク情報の空白地域対象や建築物自体の浸水対策も強化するなど、国、県、市町村に、地域住民や企業なども巻き込んだプロジェクト作成を進めていく方針です。
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新型コロナ「クラスター」の6つの典型的なケース

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 8月14日、国立感染症研究所は、新型コロナウィルスの感染者集団「クラスター」が発生した典型的なケースを分析した事例集を公表しました。密閉、密集、密接のいわゆる「3密」の環境にいたりマスクを着用していなかったりするときなどに、感染が広がったと指摘しており、改めて基本的な対策を徹底するよう呼びかました。
 国立感染症研究所で感染状況の調査を行っている専門チームは、7月までの半年間に各地で確認されたクラスター、およそ100例を分析し、典型的なケースをまとめた事例集を公表しました。
 この中で、例として挙げているのは、「医療機関での院内感染」、「カラオケを伴う飲食店」、「職場での会議」、「スポーツジム」、「接待を伴う飲食店」、バスツアーの6つで、それぞれ分析した結果と注意点が示されています。
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令和2年7月豪雨/球磨村にムービングハウスによる仮設住宅が完成


 令和2年7月豪雨により490棟以上の住宅が全半壊した熊本県球磨村では、8月2日から移動可能な住宅「ムービングハウス」を使った仮設住宅の入居が始まりました。
 ムービングハウスは、工場で作った木造の建物をトレーラーで運んで現地に設置する仮設住宅で、短期間で工事が終わるのが特徴です。
 7月18日から茨城、長野、北海道の展示場や宿泊研修施設から、大型のクレーン・大型トレーラーを使ってムービングハウスを移動。球磨村多目的広場駐車場に、3人用の2DKタイプと7人用の4LDKタイプがあり、33戸を設置しました。
 7月31日には工事が完了し、2日午前には入居者の説明会が開かれ、仮設住宅の鍵が住民に手渡されました。
 現場工事責任者の田内玄史さんは「被災された方に一日も早く安心で安全な住まい、生活を取り戻してもらいたいとの思いで建設に取り組んだ。今後は、九州、四国地域にも拠点を整備し、体制を強化したい」と、インタビューに答えていました。続きを読む

球磨川の災害と「水害タイムライン」運用の実際を検証する

球磨村渡地区茶屋集落
 私は、7月21日〜23日、7月31日〜8月3日と二度にわたって、球磨村の仮設住宅建設現場に調査と支援に入りました。球磨川流域の深刻な被災状況を実際に見て、その現状に驚きを禁じえませんでした。
 令和2年7月豪雨で、甚大な被害を被った川沿いの自治体の中には、災害発生が予測される際に行政や住民がとるべき行動を時系列でまとめた「タイムライン」を作成し、水害に備えてきた地区があります。先進地とされる熊本県人吉市や球磨村も計画に沿って避難情報を発出しましたが、早期避難には残念ながらつながりませんでした。
 タイムラインは、大規模な水害への有効な対応策として、国や地方自治体が住民とともに、その作成に取り組んでいるものです。
 タイムラインと実際の災害について、西日本新聞、日経新聞、公明新聞に注目すべき記事が掲載されていますので、まとめてみました。

異変が“スイッチ"犠牲者ゼロ
全27戸水没した熊本・球磨村の茶屋集落住民ら声掛け合い高台へ

西日本新聞(2020/7/18)
 熊本県南部の豪雨災害で、全27戸が水没しながら一人も犠牲者が出なかった集落がある。氾濫した球磨川沿いの球磨村渡地区茶屋集落。川とJR肥薩線の線路に挟まれたくぼ地に位置し、過去に何度も水害に見舞われた土地だ。住民が共有する経験則は「2階まで水は来ない」。だがその日、住民たちは高台を目指した。避難判断の“スイッチ”となったのは見慣れた水路の「異変」だった。
 4日午前3時ごろだった。降りしきる雨の中、集落の班長を務める山口敏章さんは、水路があふれそうになっていることに気付いた。「本流に水を流すポンプは動いていたが、排水が間に合っていない」。異変の始まりだった。
 この集落では大雨時、まず車を高台に移動させるという。車が水没して故障すれば、不便を強いられることを経験上知っているからだ。この日も、多くの住民が車の移動のため一度は外に出た。これが奏功した。
 山口さんが身の危険を確信したのは午前4時ごろ。車を移動させ、自宅に戻った時だった。「ザブッ、ザブン」。水路から、黒っぽく濁った水が大量にあふれ、集落内に向かって流れ出していた。 
 初めて見る異様な光景だった。山口さんは危機を察知し、妻のサヨさんと共に近隣に避難を呼び掛けた。独居の高齢者の親族に電話をかけ、「2階にいるから大丈夫」という住民は説得して外に出した。午前6時ごろ、集落は球磨川の濁流にのまれた。
 線路沿いに自宅があった中神ゆみ子さんも、水路の異変に気付いて逃げた一人。「ここの住民は危機意識が強いから早く逃げられた」と振り返る。(以下略)
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自己紹介
井手よしひろのプロフィール

井手よしひろです。
茨城県の県政情報、
地元のローカルな話題を
発信しています。
6期24年にわたり
茨城県議会議員を務めました。
一般社団法人地方創生戦略研究所
http://y-ide.com
master@y-ide.com
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