文部科学省は5月3日、全国一律に決めていた小中学校のクラス定員40名を、小学一、二年生に限り一学級35人とする方針を固めました。2006年度から5年間で実施する予定です。
 35人学級実現には、教員約9000人の新規採用が必要なことから、2006年度予算の概算要求に、初年度分として100億円以上を計上するとともに、来年の通常国会に義務教育標準法改正案を提出します。
 文科省はこの方針を、教育条件の充実を目的とする「第8次教職員定数改善計画」と位置付け、5月10日に開く中央教育審議会の義務教育特別部会に提示。専門家による作業チームを設け、具体化を急ぐ考えです。
 第8次計画策定では当初、小中学校すべてで35人学級の実施を検討しました。
1.教職員約4万7000人の新規採用が必要で、優秀な人材をそろえられない
2.義務教育費国庫負担制度に基づく国の給与負担だけで3000億円程度かかる
3.学級数の急増は校舎の新築費など、市町村負担が重くなる
などの理由から、全学年への35人学級導入は困難と結論づけました。
 今回の編成基準見直しは、国と都道府県の負担総額が1000億円程度に収まることを勘案。一年生の学級が二年生にそのまま持ち上がりになる場合も多いことから、小学校一、二年生に限って編成基準を見直すことにしました。
茨城県では2002年度から既に実施
 茨城県では、公明党などの提案を受けて、小学一、二年生を対象にした35人学級を2002年度から実施しています。ただ、茨城県の場合、少人数教育は35人学級と、複数の教員で授業を進めるチームティーチング(TT)方式を併用して実施しています=茨城方式。一学年のクラスが二学級以下になるケースについては非常勤講師を配置したTT方式で対応している。極端に児童数の少ないクラスになる場合のマイナス面の影響にも配慮したためです。
 この茨城方式の少人数教育の財源は、国の緊急雇用交付金で賄われていましたが、2005年度からは、全額県費負担に切り替えました。
参考:少人数学級やTT特別加配を県単予算で継続
参考:小人数学級とTTの推進