ある首長選での出来事です。候補者のホームページのトップに、その候補を応援する人のブログのリンクが張ってありました。それに対して、選挙管理委員会の担当者が、「公式HPにここ(候補者を応援するブログ)へのリンクがあるのは違法性が高い。リンクを外して下さい」と指摘しました。
 候補者の公式HPは、明らかに政治活動の一環として作成した内容です。告示以降は更新を止めています。それにリンクした形のブログは、当然のことながら、毎日のように更新されています。
 いささか古い資料になりますが、平成8年10月28日の自治省行政局選挙部選挙課の新党さきがけの質問に関する回答によると、ホームページの文字等は、公職選挙法の「文書図画」に当たります。さらに、ホームページを人に見えるようにすることは「掲示」に、不特定又は多数の方の利用を期待してインターネットのホームページを開設することは「頒布」にあたるとしています。したがって、選挙活動にホームページを活用することは、文書図画の公開・頒布に当たるため、選挙違反ということになります。
 しかし、ホームページを活用した選挙運動以外の政治活動は当然合法的でな活動であり、国民(住民)の知る権利を保障する上でも、積極的に行われるべきものです。
 選挙運動と政治活動の一線が非常に微妙であることも事実です。そこで、明確な基準が明確になっていない現在、私たち議員(又はその関係者)は、通常の政治活動用のホームページを告示以降は、更新を中止し、選挙運動と紛らわしい内容を極力掲載しないようにしています。
 そこで、問題なのは上記の例のようなリンクの問題です。応援サイト自体が、具体的な候補者名を上げ、選挙運動を支援しているサイトであれば、公職選挙法に抵触する可能性があります。そこへのリンクを掲載した候補者自体のホームページが、いくら政治活動であるといっても灰色との判断が下されるかも知れません。それが、選管からの「違法性が高い」との警告となって現れていると思われます。
 さて、本題はここからです。最近、ブログによる政治家のホームページが増えてきています。その際、ブログの更新を中止し、かつ、選挙運動に触れるような記載がないとしても、トラックバックやコメントにより、外部の支援者から「○○候補の○○選挙での必勝を祈る」などという投稿があった場合はどのようになるのでしょうか?
 既に、最初に自治省の見解が出て9年余り。国や国会の選挙とインターネットの関係の整理は、あまりにも時間が掛かりすぎています。全面解禁に向けて、早急な議論の進展を心から望むものです。
参考:自治省行政局選挙部選挙課の新党さきがけの質問に関する回答
(このブログで扱っている首長候補のHPとその応援のHPは、5月17日現在、選挙期間中であるため、具体的なurl等の表示を差しひかえました)
インターネットと選挙運動
函館市選挙管理委員会のホームページから引用
Q.インターネットを使って選挙運動はできるの?
A.できません。
  • 公職選挙法では、「文書図画による選挙運動」は法律で認められた手段(選挙用ポスターや葉書など)以外は一切使用できないと包括的に規制されています。
  • パソコンのディスプレーに表示される文字等は、公職選挙法に規定する「文書または図画」に該当すると解されているため、選挙運動に使用することはできないことになっています。
Q.政治活動はできるの?
A.選挙運動にわたらない、純粋な政治活動としてならできます。
  • インターネットを使用して選挙運動を行うことは、上記のとおり禁止されますが、選挙運動にわたらない純粋な政治活動として使用することは基本的に規制されませんので、立候補予定者や政党などがホームページを開設し、選挙運動性のない政見などをそのホームページに載せることは可能です。
  • ただ、たとえそのような純粋な政治活動用の文書図画であっても、現職の政治家や立候補予定者および後援団体の政治活動のために「掲示」するものについては、公職選挙法の規制を受けます。
    ※この「掲示」とは、画面に表示された内容を一定の場所に掲げて不特定の人に見えるようにすること等をいいます。 
  • なお、純粋な政治活動として使用するホームページであっても、選挙運動期間中に開設または書き換えすることは、選挙運動の禁止を免れる目的と認められる場合には公職選挙法第146条違反となります。
  • また、そのように認められない場合であっても、政党その他の政治活動を行う団体が開設または書き換えをするホームページに、その選挙区の特定候補者の氏名または氏名類推事項が記載されている場合には公職選挙法第201条の13違反となります。
  • 立候補に向けての決意などは、選挙運動性のある文言とされ違反となります。