『週刊朝日』3月12日号に、「7月危機/全国の温泉 6割が営業できない」というショッキングな見出しの記事がのりました。
 2004年7月1日以降、水質汚濁防止法が完全施行され、温泉成分の一つであるメタホウ酸の排出規制が、温泉旅館にも適用され、河川などへ放出する場合、現在の規制の1/50に規制値が厳しくなるというものです。
 このため厳格に適用されると、全国約6割の温泉旅館が基準値を越え、何らかの対応を行わなければ、営業そのものができなくなるというのです。
 知人からこの件で、相談を受けました。HPで検索したところ、国連大学副学長の安井至(やすいいたる)先生の「市民のための環境学ガイド」に、詳細な解説が掲載されていました。
市民のための環境学ガイド
本格温泉消滅の危機 03.14.2004
C先生:週刊朝日の記事だが、全体的なトーンはまずまず妥当。最後の結論、「行政や温泉経営者の怠慢が、消費者の楽しみを奪うことが無いように祈りたい」、もまずまず。
 本HPの結論。今回問題になりそうな温泉は、昔からの「本物の温泉」であり、一方、循環装置をもっている「偽の温泉」=「単なるお風呂」だと問題にならないのが、実に最大の問題だ。そんなことが起きれば、本末転倒。適切な対応が取られることを期待したい。
 本当に温泉が営業出来なくなるのか、具体的な対応については、明日(3/22)環境省並びに県庁に問い合わせしてみたいと思います。
<リンク>水質汚濁防止法

 
3月13日に公明党温泉活用・温泉活性化プロジェクトチームならびに群馬県本部、群馬県温泉活性化推進議員連盟は、加藤修一環境副大臣に宛てて、暫定基準の期間延長などを求める要望書を提出しました。
 同じく、3月17日は、社団法人日本温泉協会が環境省に対して陳情を行っています。
 こうした働きかけに対して、環境省も柔軟な対応を検討しているとのことです。
 また、茨城県内の状況について、県環境対策課ならびに県観光物産課に確認したところ、県内の温泉で、今回の基準値を超えるおそれのある温泉施設はないとの回答を得ました。
有害物質7月1日以降の
河川排出基準
暫定基準
ホウ素及びその化合物10mg/l500mg/l
フッ素及びその化合物8mg/l50mg/l