公明党・神崎代表の提案受け政府が発表
 政府は6月30日、爆発物の製造方法や集団自殺などインターネット上の違法・有害情報に対する当面の対策を取りまとまとめました。
 その骨子は、以下の4項目です。
1.閲覧制限をかけるフィルタリングソフトの普及
2.インターネット接続業者(プロバイダ)の自主規制の支援
3.モラル教育の充実
4.相談窓口の充実
 今後、来年度(2006年度)の予算編成や法整備も視野に中・長期的な対策についても検討を進める方針です。
 フィルタリングソフトについては、学校や公的機関などの利用状況を総点検し、早急な導入を図るとともに、学校やPTAとも協力して、子どものいる家庭での活用を啓発します。携帯電話や動画に対応したソフトの技術開発も進めます。
 自殺サイトへの対応については、人命第一の観点から発信者情報の公表を想定しています。プロバイダに対し、警察が情報開示を求める際の基準を策定することを検討します。警察の情報収集も強化する方針です。
 また、爆発物や偽札などの有害情報について、削除の基準などを検討する学識経験者らからなる研究会を7月をめどに設置します。
 30日の記者会見で細田官房長官は、憲法が保障する表現の自由との関係について、「明らかに違法なものから対策を講じていくが、表現の自由に抵触する分野まで入っていくべきではない」と強調しました。
 今回の対策は、6月13日の政府与党連絡会議での公明党の神崎武法代表の提案を受け、まとめられたものです。神崎代表は、山口県立光高校の爆発事件に関連し、ネット有害情報を参考に爆発物が作られたり、集団自殺が呼び掛けられている現状に懸念を表明しました。対策を関係省庁で検討するよう要請していました。
 警察庁によると、ネットの呼び掛けで集団自殺した人は2003年は12件、34人でしたが、2005年は4月末現在ですでに22件、59人に上っています。しかし、自殺情報があっても、犯罪ではないためプロバイダーに対して捜索令状は執行できません。警察は自主的な協力を求めることしかできず、必要性があいまいな場合は「通信の秘密」を理由に拒否されるケースも多いといわれています。
爆発物情報などネット規制強化・官房長官、検討表明
読売新聞(2005年6月14日)
 細田官房長官は6月14日の閣議後の記者会見で、インターネットによる爆発物の製造方法などの有害情報対策に乗り出す方針を明らかにした。
 内閣官房の「インターネット上の違法・有害情報等に関する関係省庁連絡会議」で、ホームページや有害情報の監視のあり方などについて検討する。
 山口県立光高校の爆発事件では、爆発物がインターネット情報に基づいて作られたとされ、公明党の神崎代表らから対策を求める声が出ていた。細田長官は「発信者を突き止め、『有害だからやめるように』と指導することになるが、どの程度可能か検討したい。ネット上の画面を強制的に消すことはできない」と述べた。村田国家公安委員長も記者会見で「言論と出版の自由はあるが、(インターネット上の)ルールを作らないといけない」と語った。