日立電鉄線の廃線問題で、常陸太田市・日立市周辺の高校生らでつくる「日立電鉄線の維持存続を求める高校生徒会連絡会」(会長・佐竹高二年、渡辺博則さん)が3月23日、常陸太田市、日立市、県の担当者を招き、存続を訴える懇談会を常陸太田市役所で開催しました。
 高校生徒会連絡会は、1.通学に不便になる、2.高齢者など交通弱者にしわ寄せが行く、3.中学生の高校進学の選択肢が狭まる、4.代替バスでは交通費は高く、渋滞も激しくなる、5.バスの排気ガスは環境に悪影響、などとと主張しました。
 これに対して、県企画課の室町正男副参事は「指摘はその通り。後はいかに電車に乗ってもらえるかが問題。みなさんも遊びに行く時に電鉄を使ってほしい」と応えました。
 常陸太田市総務部の沼田久雪次長は「電鉄そのものの経営は厳しく、利用促進策が必要。将来に悔いを残さないため検討を重ねたい」と、存続に向けて慎重に検討する姿勢を明らかにしました。
 一方、日立市政策審議室の鈴木透政策企画担当課長補佐は「支援をしてもどこまで続くものか疑問」と、代替バスの運行を検討すべきと話しました。
 今回の日立電鉄存続問題では、日立市と常陸太田市の対応が分かれているのが特徴的です。
 その理由は、存続に必要な公的支援の試算額に違いがあるためと思われます。
 日立電鉄は年間約2億円の公的支援が必要としていますが、県企画課は設備投資を押さえるなどすれば7000万円から8000万円で、維持存続が可能と試算しています。
 日立市は電鉄側の試算を、常陸太田市は県側のデータを基に、存続問題を検討しています。
 行政側の検討の基本数値にこれだけの開きがある中での、廃線届けの強行に、市民の間での不信感が高まっています。