3月26日、総和町の教育委員会の臨時会が開催され、新年度から導入を予定していた「通年制」の実施を見送ることを決定しました。
 総和町の教育委員会では、学力の向上を目的に、3学期制度を廃して、一学年を1期として教育に当たる「通年制」導入を決定していました。各学期毎に行っていた始業式や終了式などをなくすことで、授業時間を年間20時間確保することなどが出来るとしてきました。現行の通知票を廃止し、学習単元毎に児童の理解度を評価する「学習カード」を作ることになっていました。
 ところが、3月6、7日に開催した保護者会では「説明が不十分だ」「2月の急な発表で学校現場は混乱している」などの反対意見が続出しました。
 一部では通年制反対の署名運動にまで発展し、町議会でも反対の請願が提出されていました。
 こうした反対論に対しても、3月11日の教育委員会では、「通年制」を4月1日から実施することが決議され、学校管理規則の改正まで承認されていました。
 新学期まで10日あまりと迫った中での、今回の方針急転換には、町民ならずとも批判の声が噴出しています。
<リンク>総和町の小学校「通年制」、町教育委員会で承認(2004/3/12)
<リンク>茨城県総和町で小学校に通年制(2004/3/8)
 総和町の「通年制」については、様々なマスコミの取り上げられ、その取り組みが全国的にも注目されていました。この問題を掲載した私のHPにも、様々なご意見をいただいております。
 「教育という子供の一生に係わる大切なことを、短兵急な議論や思いつきの発想で考えるべきではない」、「選挙を目前に控えた首長の人気取りで、このような大事なことが一方的に決まっていくことは大きな問題だ」、「通年制そのものに疑問を感ずる。小学生にとって一年という長い期間、緊張を維持することは無理。3学期制の今の制度がベスト」などが主な意見です。
 「通年制」については、議論を白紙に戻すべきです。じっくりと時間を掛けて、学校関係者、保護者、そして子供たちが納得できる結論を模索すべきです。

 読売新聞の地方版に3月26日の総和町教育委員会の模様が詳細に記載されておりましたので、引用させていただきます。
読売新聞2004/3/28茨城版より
委員、慎重対応求める 検討委で引き続き協議へ
総和町教委が通年制導入見送り

 総和町教育委員会(高橋武委員長)が3月26日に開かれた臨時会で、いったん正式決定した小学校での新年度からの「通年制」導入見送りを決めたことについて、町教委の委員らは、「急な話で、保護者の反対も多い」などと話している。
 臨時会は午後八時に開会したが、約三十人の傍聴者が詰めかけ、町民の関心の高さをうかがわせた。
 冒頭、田続功教育長が「学力を伸ばすため、四月一日に向けて(通年制の導入を)進めていきたいと考えている」と了承を求めた。これに対し、高橋正彦委員が「一度決めたことだが、反対者が多いので強行するのはやめるべき」と反対。さらに、金久保三智夫委員が「急な話で保護者は不安でいっぱいだ。混乱を抱えながらちゃんとした教育が出来るのか」と述べた。また、遠藤裕子委員も「授業時間を増やす方法として通年制は間違っていないが、準備に時間をかけるべき」と慎重な対応を求めた。
 この後、「三学期制」に戻す学校管理規則の再改正案を町教委が提案、五人の委員のうち三人が賛成。また、算数と国語の単元ごとに理解度や到達度を積み重ねる「学習カード」の導入も見送った。
 通年制や学習カードについては、今後設置する検討委員会で引き続き協議する。保護者に対しては、四月初めにも文書で経緯を説明する。高橋委員長は「児童のためになると信じていたし、考えは変わらない。残念だ」と話している。