JCO臨界事故を踏まえて、茨城県は「原子力防災情報ネットワーク」を構築し、6月3日から稼働させます。国、県、市町村が電子掲示板を使って情報を共有化し、原子力災害に対応します。県と市町村の間でいばらきブロードバンドネットワーク(IBBN)を活用してテレビ会議も可能となりました。
 これにより、原子力施設がある東海、那珂、大洗、旭の4町村だけでなく、隣接を含めた計9市町村の担当者間でテレビ会議や電子掲示板の利用が出来るようになりました。今年9月30日の原子力防災訓練で実際に使用する予定です。
 電子掲示板は、事故状況、環境への影響、各市町村の対応、交通規制の状況などが随時書き込まれ、画像の張り付けも可能です。県や市町村は刻々と変化する状況を画面上で把握して対応策に活かすことが出来ます。
 住民に対しては情報を整理し、アクセス集中にも耐えられるようサーバーを増強した県のホームページや、防災行政無線を通して広報します。
 県原子力安全対策課によると、県と原子力施設所在市町村との間で国がすでに整備しているネットワークと、今回稼働する県のネットワークとは別系統となっています。国が安全管理などを理由に接続に難色を示しているためで、情報はフロッピーディスクなどを介して県のネットワークに移すことになります。
 今後、残る4つの隣接町村や消防、警察などにもネットワークを広げる方針です。住民広報については、携帯電話でも情報を見られるシステムや、メールサービスの導入も検討しています。
 県の「原子力防災情報ネットワーク」構築の淵源は、2001年10月の井手よしひろ県議による、県議会一般質問にあります。井手県議は、IBBN構想を提案すると共に、防災ポータルサイトの構築を具体的に質問しました。
井手よしひろ県議の質問
 次に、台風や集中豪雨、地震・津波などの自然災害、先のJCO事故に見られるような大規模事故に対応できる防災情報のホームページの立ち上げについて、生活環境部長にお伺いいたします。
 現在でも、雨やカミナリの状況、天気予報、台風の進路などの気象情報は、たくさんのホームページ上から発信されています。原子力施設周辺のガンマ線の空間線量も、9月1日より、いつでもリアルタイムで知ることができるようになりました。河川の水位や海岸の潮位も、国土交通省などのサイトに接続すれば入手できます。
 今後、道路の渋滞状況や工事情報も、インターネットで配信されてくるものと思います。
 こうした有益な情報を、県のホームページ上に一元的に集約して、このページを見れば、大事な情報がすぐに確実に入手できるページ、茨城県版防災ポータルサイトを整備することを提案します。また、将来的には携帯電話端末でもアクセスできるようになれば、より充実したサイトになるものと考えます。
 防災ポータルサイトの構築について、生活環境部長のご見解をお伺いいたします。

生活環境部長の答弁
 防災ポータルサイトの構築についてお答えいたします。
 現在、県では、大規模な災害が発生した場合はもとより、台風の接近時など、災害の発生する恐れのある場合にも、降雨量や河川の水位状況、あるいは、被害状況や復旧の状況など、県民の方々が必要とする情報について、県のホームページから、できるだけ速やかに提供しているところでございます。
 しかしながら、さらに多くの情報を、分かりやすく、より迅速に提供するためには、議員ご提案のような「防災ポータルサイト」によりまして、一ケ所からアクセス出来るようにすることが、県民サービスの面からも必要なことでありますので、現在、「県IT戦略会議」において、防災関係を含めた生活情報の提供のあり方についての検討がなされているところでありますことから、その最終報告書を踏まえまして、より入手しやすい防災情報の提供のあり方について研究してまいりたいと存じます。
 また、当面の対応と心たしましては、注意報や警報の発令状況、あるいは、台風情報や地震情報などについても、関係機関などのホームページと繋げること、いわゆる「リンクを張る」ことについて調整を行い、県民の方々が、より簡便に防災閲憐情報を入手できるよう、努めてまいりたいと考えております。