茨城県住宅供給公社(理事長・角田芳夫副知事)の深刻な経営難に伴う問題で、橋本昌知事は2004年1月6日の定例記者会見で、「住宅公社の果たしてきた住宅分譲事業などの役割はおおむね達したと考えている」などと話し、将来的には「公社は廃止するのが望ましい」との考えを、記者の質問に答えて明らかにしました。
 住宅公社の今後の具体的な在り方については、副知事をトップに庁内の関係部局代表でつくる「公社対策会議」に検討を委ね、基本方針を今年秋をめどにまとめる方針です。
 住宅公社は、昭和27年に財団法人茨城県住宅協会として発足し、昭和40年に制定された地方住宅供給公社法に基づき、現在の組織に変更され、現在に至っています。
 これまでに、居住環境の良好な住宅団地を開発し、1万2000戸以上の住宅・宅地を分譲してきました。特に、昭和40年代から50年代半ばになっては、年間500戸前後の住宅を販売し、54年には760戸の販売を記録しました。当時販売された双葉台団地(水戸市)などは、販売数量より購入希望数の方が多く、抽選で販売するような状況もありました。
 しかし、バブル崩壊後売上は低迷し、百合ヶ丘ニュータウン、十万原団地などの大規模分譲地をかかえ、住宅公社は深刻な経営難に陥ってしまいました。
 公社が抱える保有地は2003年3月末現在、約333ヘクタール。また、公社の金融機関からの借入金約700億円に上ります。金利や人件費などの経費を払うためには、最低でも年間100戸以上の販売を行わなくてはならない状況ですが、昨年の売上は48戸と存続するだけで損失が増える体質になっています。更に土地価格の暴落は、保有している土地の入所価格(簿上価格)と実勢価格との乖離を拡大させており、債務超過に陥っているのではとの指摘がされているところです。
 こうした背景から、県が民間有識者を集めて設置した「住宅公社あり方検討委員会」(委員長・大村謙二郎筑波大教授、委員七人)でも2003年12月、県に対し公社の廃止を公式に提案しています。
 しかし、公社の借入金700億円の内、その大部分の680億円に関しては、県が債務保証をしており、清算された場合は全て税金が投入されることになります。また、地方住宅供給公社法では、その公社の廃止を想定しておらず、法律上清算することが出来ません。
 橋本知事はこうした事情を踏まえ、「住宅公社は当面は保有地の処分に全力を尽くしていかなければならない」と述べており、保有地処分に一定のめどがつかない限り、清算・廃止も出来ない状態です。
参考:茨城県住宅供給公社のHP
参考:茨城県住宅供給公社の見直しについて橋本知事の記者会見要旨