7月9日付けの朝刊各紙に民主党の意見広告が載りました。曰く、「民主党がかんがえる年金についてせいいっぱい説明します」と。
 参院選で民主党は、焦点の年金改革について、「政府の年金改革法の白紙撤回」と政府の年金改革を批判しています。反面、民主党の提出した年金改革案は、何一つ具体的な数値に裏付けがありませんでした。
 この全面広告にも、一番大事な年金の給付額と保険料の具体的な数字が一切示されていません。
 いつまでに改革をやるのかも書かれていません。民主党幹部は「今後5年間議論して抜本改革を」と国会で主張していましたが、この広告では触れられていません。放っておけば、5年間に年金財政の赤字が25兆8000億円にも膨らみ、年金制度は破たんしてしまうことにも触れられていません。 唯一出ている数字は、民主が導入を主張している年金目的消費税3%だ。しかし、以前から指摘されているように、3%で済むという根拠は何も示されていないし、現行の消費税5%に3%が増税されることになるのかどうか、大事なことは書いていない。
 さらに、問題だと思うのは、国民全体に消費税をかけながら、「現在給付を受けている方には、この改革は影響がありません」と平然とウソをついていることです。既に保険料を払い終えた高齢者からも消費税という形で保険料を捕ることは、まさに“二重取り”ではないのでしょうか。「影響がない」では済まされません。“お年寄りいじめ”以外のなにものでもないでもありません。
 また、国民年金を含めた年金制度の「一元化」を、さも“万能薬”のように主張していますが、保険料を労使折半しない自営業者の保険料負担が2倍以上になることなどマイナス面は一切ほおかむり状態です。
 年金の模式図なども手書きで、何となくイメージを優先させた民主党の全面広告。年金をイメージで語ることの危うさに国民は気づかなくてはならないと思います。