閣僚の年金未払いが大きな話題となっています。
 民主党の菅直人代表にも未納期間があったようです。大変残念なことです。また、政治家不信が増しただけの結果となりました。
 さて、公明党の中小企業セミナーや政経懇話会で、直接住民の皆様からご意見を聞く機会がありますが、そこで度々指摘されるのが国民年金に魅力がないということです。
 特に、自営業者からは「何十年と国民年金の保険料を支払い続け、受給する前に年金をかけていた人が亡くなると、全くの払い損、掛け捨てになってしまう」という声が多くあがります。
 確かに、厚生年金と違って国民年金の遺族年金はその子息が未成年の期間のみ支給され、本人が死亡した場合は、掛け捨てになってしまう実態があります。
 年金制度などの社会保険制度は、お互いの助け合いが前提で、個人の損得とは別次元という発想で成り立っていますが、日本人にとって、「その通り」と簡単に納得できるものではないようです。
 この点、興味深い意見が産経新聞の「正論」に掲載されました。同志社大学フェロー、大阪大学名誉教授・加地伸行先生の論です。加地教授は、日本文化では無償の愛を前提とする西欧型の社会保険制度(年金制度も含む)は成り立たないと指摘されています。その上で、
<有償の愛>を逆手に取ることだ。たとえば、国民年金月額1万3300円を10年掛けると約150万円。その時点で、2倍の300万円を無利子で国家から借りられるようにするとか、あるいは健康保険をきちんと10年納めると、病院の待ち時間を少なくするとか。そういう<得になる話>をいろいろと政府は作るべきである。
 そうしたアイデアは国民から募集し、グッドアイデアを出した人々には国民栄誉賞を与えよう、いや一生の社会保険料を免除。というふうな東北アジアの文化に沿った立案をしないかぎり、どうあがいても社会保険の赤字はなくならない
との提案です。
 国会の年金議論は、こうしたアイデアを具体的に検討する場であってほしいと思います。
 私なりにもいくつかの提案をさせていただきたいと思います。
【提案−1:死亡一時金】
 25年以上年金保険料を継続して納付したものが、死亡した場合は、一時金としてその時点での保険料25年分を弔慰金として還付する。現時点では、約400万円になりますが、国民の掛け捨て感を一掃するためには大きな効果があると思います。
【提案−2:国民年金25年支払いを議員年金の要件に】
 国会議員、地方議員など共済組合加入者の国民年金加入を担保するために、共済組合年金の受給条件に、国民年金(または厚生年金)の25年以上加入を条件とする。こうしておけば、中川経産大臣のように全く年金に加入していなかったなどという無責任な国会議員を一掃できます。
【提案−3:国民年金保険料の時効を10年に】
 国民年金保険料の時効を2年から10年程度に延長する。逆に言うと、遡って10年程度は一括納付できるようにする。様々な理由で保険料を納められない人が、老後の安定した生活を確保するために、遡って未納分を納めたいという場合があります。現行制度は、2年間しか遡れないため、一度未納期間が発生すると、支払いを続けるインセンティブが落ちる結果となっています。時効の延長は、未収対策としても効果的だと思います。なお、この場合計算の基礎となる月ごとの保険料は現時点での保険料にするべきでしょう。
 荒唐無稽な提案かもしれませんが、国は国民の年金不信に具体的に答える策を真剣に検討すべきです。また、野党・民主党は単なる人気取りの実態のない年金改革案ではなく、こうした具体的なアイデアを政府、与党にぶつけてほしいものです。