霞ヶ浦でのコイヘルペスで死んだ養殖ゴイの回収作業 コイヘルペスによる養殖ゴイの大量死問題で、県内の58の養殖業者が全て廃業する方針を決定したことが、地元マスコミ各社から報道されました。報道によると、「いけす」一面当たり210万円の廃業補償を近く橋本昌知事に申し入れます。(内訳:施設費130万円、漁業権補償80万円)業者側は、補償額を県が容認すれば58あるすべての業者が廃業するとしています。
 しかし、総額70億円以上と巨額になるため、県の対応が注目されます。補償面での合意が実現すれば、国内生産の5割を占め、年間5125トンの出荷量(2001年)を誇る日本一の養殖ゴイの産地が消滅することになります。
 霞ヶ浦や北浦では、1964年頃より、網いけすのよる鯉の養殖が、栽培型漁業の流れから試験的にスタートしました。「釣り堀」ブームに乗って、1969、70年には、養殖業者は約130業者に増え、年間出荷量も8760(1982年)に達するまで成長しました。
 反面、湖内での養殖方式のため、「いけす」内で飼われるコイの排せつ物や食べ残しのエサによる、霞ヶ浦や北浦への水質影響を無視することは出来なくなりました。茨城県の試算によると、養殖による汚濁負荷割合は、1981年時点で、リンの21.6%、窒素の12.8%を占めていました。その後、飼料の使用の効率化などが進められましたが、1998年度のデータでは、窒素は6.5%と、リンは19.4%となっています。COD(化学的酸素要求量)に対する負荷割合は、2000年時点で7%と、環境負荷の一つの要因となっています。
 橋本知事が、霞ケ浦の水質浄化の観点から「全業者の廃業を前提に補償を、環境対策事業に盛り込めないか検討したい」との意向を持っていると伝えられていますが、こうした背景をもとにした発言です。