9月15日、交通事故などで体に強い衝撃を受けた影響で、頭痛や睡眠障害が起きる「脳脊髄液減少症」の勉強会が、つくば市の市立中央図書館アルスホールで開かれました。
 「脳脊髄液減少症」は、脳や脊髄が強い衝撃を受けたことで、脳を包む脳脊髄液が体内で漏れ、脳の位置が下がりることによって、さまざまな症状を引き起こす病気です。病気の診断基準などが学会で定まっておらず、むち打ち症(頸椎ねんざ)と診断されるケースが多いため、むち打ち症の治療が終わっても頭痛やめまい、視力低下、疲労・倦怠感などの症状が複合的に現れるために、「怠け者」「精神的なもの」「仮病」などと判断されることも多いとされています。
 「脳脊髄液減少症」は、患者本人の血液を患部に注入して漏れを止める「ブラッドパッチ療法」という治療法で、症状が改善するケースがあると報告されていますが、まだ研究途上の段階で、医師によっては治療を断るケースもあります。
 こうした「脳脊髄液減少症」への理解を進め、診断や治療体制の整備を図るために、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)茨城県患者会と茨城県保健福祉部保健予防課が共催し、NPO法人鞭打ち症患者支援協会が後援して、今回の勉強会が開催されました。
 この勉強会は、井手よしひろ県議が、2005年6月15日の県議会保健福祉員会で提案し、実現したものです。
 茨城県患者会の鈴木敏文会長の開会の挨拶の後、患者と患者家族の体験談の発表が行われました。来賓を代表して参議院議員渡辺孝男氏(公明党・脳外科医、日本脳神経外科学会専門医)、県議会議員鈴木孝治氏が挨拶しました。
 その後、「脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の診断と治療方法について」と題して、国際医療福祉大付属熱海病院脳神経外科の篠永正道教授が講演を行いました。講演に対して、筑波大学付属病院脳神経外科・松村明教授が指定発言を行いました。
 県内初の開催となったこの勉強会には、脳外科医や清家外科医など医師30名、患者家族など関係者50名が集い、真剣な雰囲気の中で充実した会合となりました。
参考:NPO法人鞭打ち症患者支援協会のHP
参考:脳脊髄液減少症:署名簿を添え、県に支援協力を要望
参考:井手よしひろ県議、保健福祉員会で脳脊髄液減少症対策を質す