厚生労働省の社会保障審議会の作業チームは、介護保険の制度改正に伴い2005年4月から導入する介護予防サービスの報酬支払い原案をまとめました。
 これによると、介護予防サービスの報酬は、サービスの回数や時間に応じた出来高払いではなく、月単位の定額払い方式なります。また、利用者の改善に応じた成功報酬の仕組みも導入する意向を明らかにされました。
 対象となる介護予防サービスは、「デイサービス」「通所リハビリ」「訪問介護」の3種類です。
 現行の介護報酬は「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3類型。「身体介護」、「生活援助」については時間単位の評価とし、「通院等乗降介助」は1回あたりの定額払いとなっています。しかし、現行では要支援の8割超、要介護1で6割近くを「生活援助」の利用が占めており、1回あたりの利用時間も「1時間半以上2時間未満」の比較的長時間が3割程度となっている実態があります。このため、厚労省では現行の時間単位の報酬設定は、時間が長いほど報酬が増えるため長時間サービスを誘引しやすく、ヘルパーの代行になりがちであるなどとして、介護予防の訪問介護では時間単位の評価はしない方針を示しました。
 その上で考えられる報酬設定のあり方として、1.月単位での定額払い、2.掃除、洗濯など行為ごとの定額払い、3.一定期間で報酬を逓減していく、という3つの案を提示しました。
 定額払いにすることで利用者の状態に応じて柔軟なサービスを提供することが可能になります。また、利用者すべてが、月ごとの同一額となるため、報酬の請求事務が簡単になります。更に、掃除・洗濯などサービス内容ごとの報酬になるため、評価が明確になるというメリットもあります。 
 反面、サービス提供に手間のかかる利用者とは、契約を結ばなくなる事業者が出る恐れもあるなど欠点も指摘されています。
 一方、成功報酬は事業者の提供する介護予防指導によって、高い改善効果が出た事業者に、報酬が加算されるものです。身体機能が向上して外出できるようになったり、栄養状態が悪かった高齢者の体重が増加したり、栄養状態が改善されたりすれば、報酬が加算されます。 
 また、一定期間の月数を超えて効果が出なかった場合に、報酬を逓減(介護報酬の減額)するという案については、利用者の意欲の問題もあり、安易な導入には慎重であるべきだと思います。