9月27日、井手よしひろ県議は横浜市役所を訪ね、都市経営推進課(通称:エンジンルーム)斉藤良展課長より、「事業仕分け」による市の事業見直しについて導入の経緯や、実際の作業方法、結果を受けての見直しの具体例等を詳細に聴き取り調査を行いました。
 これまでの地方議会の動きは、各行政機関に働きかけて、もっぱら事業予算を増額させる方に働いてきました。なかなか削減する方向には進みづらいのが現実です。“外部の目線”“住民の目線”から予算をチェックする試みは、非常に重要であり、「事業仕分け」は、この具体的手法として非常に有効なものであると実感しました。実際に、事業仕分けを行う団体が現状では、構想日本に限られているなど、茨城県での導入にはいくつかの課題があることも現実ですが、具体的に県当局に提案を行いたいと考えています。
(ヒアリングの内容は[続きを読む]に箇条書きで整理しました。写真はヒアリングを終えて横浜市役所議会棟前での井手県議)
横浜市の「事業仕分け」についてのヒアリング内容
  • 「事業仕分け」は、民間シンクタンク「構想日本」の加藤秀樹代表(慶應義塾大学教授)が提唱している行政の事業見直しの手法であり、横浜市では、平成16年度に経済局で、平成17年度は福祉局で実施されました。
  • 「事業仕分け」は、国であれ地方であれ、本当に必要な行政の仕事を予算項目ごとに“国民の目線”からチェックするものです。具体的には、すべての事業を、1.そもそも必要か、2.必要なら行政と民間のどちらがやるべきか、3.行政なら、国や県、市町村のいずれか――などを順に検討し整理していきます。その際、民間の専門家と行政側の担当者との間で徹底的に議論を重ね、納得の上で結論を出します。必要がない事業を打ち切るので、行政サービスが低下する懸念はありません。
  • 「事業仕分け」は、横浜市をはじめ8県4市で行われてきました。10月には、千葉県でも行われる予定です。
  • 横浜市は、「事業仕分け」の結果を予算編成に積極的に反映させてきました。平成16年12月に実施した経済局の95事業のうち、44事業が「不要または民間の仕事」と判断されました。その結果を踏まえ、18年度事業で6事業を廃止しました。7事業で金額や内容を見直しました。残る事業は、来年度(18年度)予算に向けて見直しなどを検討しています。平成17年9月3日に行われた福祉局の結果も、平成18年度予算に反映させる方針です。
  • 「事業仕分け」の具体的な手法は、各局の事業をいくつかのグループに分け、各々5名の評価者に仕分けを行っていただきます。評価者は、横浜市の行政に直接関係がない学識経験者や行政関係者、企業の専門家や一般住民など、構想日本の会員が行います。職員が一つ一つの事業の目的や効果を簡潔に説明し、評価者は、「要/不要」、「必要ならば民間に任せるべき」、「県が行うべき」、「国が行うべき」、「引き続き横浜市が行うべき」の5つに分類します。この際、「要/不要」、「必要ならば民間に任せるべき」に時間を重点的に配分します。議論の結果は多数決で決定します。
  • 横浜市職員の反応は、若干の戸惑いや反発もありました。職員が立案し、議会が承認した予算を外部の人間から「役に立ってないので廃止すべきだ」などと指摘されるわけですから、不満が出るのも当然かも知れません。しかし、しっかり議論していると、次第に理解し合えるようになります。
  • 「事業仕分け」の作業で、「不要または民間の仕事」と指摘された事業もすぐに廃止する訳ではありません。政策的見地から今後とも継続する事業も数多くあります。その場合は、新たな場を設定してその事業の継続の必要性を市民に説明することになります。