9月27日、横浜市の公立病院改革について、井手よしひろ県議は横浜市病院経営局経営改革担当竹内隆課長より、説明聴取を行いました。かつて、横浜市立の病院は、港湾病院(300床)、市民病院(626床)、脳血管医療センター(300床)の3つがありました。このうち、港湾病院が老朽化したため建て替えられ、今年(平成17年)4月に「市立みなと赤十字病院」としてオープンしました。
 市立病院は多額の一般会計からの繰入金が必要であり、その上、単年度の収支も赤字となっていたために、平成14年から「市立病院のあり方検討委員会」を設置し、抜本的な病院経営の見直しを行ってきました。
 その結果、新たに立て直す港湾病院は、日本赤十字社を指定管理者とする公設民営の病院として開設されました。同病院は、地上8階、地下1階建てで、ベッド数は584床。24時間体制の救急医療や、小児科など22の診療科(07年度に精神科開始予定)で総合医療を行います。ヘリポートや船着き場も備え、災害時の拠点病院としての役割も担います。
 公設民営化に移行するために、旧港湾病院に勤務していた医師や看護師、事務職員は全員、他の病院に移動されました。建設費は全額市が負担しましたが、毎年6億円の減価償却費(家賃に当たる)を赤十字社が支払います。政策医療を担うため、毎年17億円の交付金を市が負担します。港湾病院では、一般会計から21億円の繰り入れを行い、20億円の赤字を補填してきましたが、指定管理者制度に移行し一挙に経営を改善したことになります。
 残る市民病院と脳血管医療センターは、地方公営企業法の全部適用に移行し、病院管理者のもとに集中的な経営改善に取り組むことになりました。4年の改善期間を設け、その中で大きな経営改善が出来なかった場合は、民営化も含めたより大胆な改革が行われることになっています。
 横浜市の場合、港湾病院の民間への移行に関しては、医師や看護師、職員を全員他の職場に移し、雇用を確保できたことが成功の鍵になったと思われます。大都市の病院では出来たこうした改革が、茨城県のような地方都市の病院では出来ないことが厳しい現実です。
(写真は、平成17年4月に公設民営の病院として開院した「横浜市立みなと赤十字病院」)
参考:横浜市立みなと赤十字病院のHP
参考:横浜市立市民病院のHP
参考:横浜市立脳血管医療センターのHP