2001年11年9月30日に茨城県東海村で起きた臨界事故では、作業員2人が大量の放射線を浴びて死亡し、住民など600人余りが被曝しました。この事故を教訓に、茨城県は原子力事故に備えた、茨城県の原子力防災訓練が実施されました。
 今年の訓練には防災機関の担当者や地元の住民などおよそ1600人が参加しました。
 訓練は、東海村にある核燃料加工施設で臨界事故が起きたという想定で、施設の近くに住む東海村と隣りの那珂市の住民およそ600人が避難所に避難。通常、国の現地対策本部が立ち上がるまで2時間程度かかることから、今回の訓練では、事故から40分後の午前9時から開かれた県災害対策本部会議で、橋本昌知事が村上達也東海村長、小宅近昭那珂市長とテレビ会議で協議し、住民避難を決定し、国の対策本部に事後承認を求めるという形式が、初めて取られました。
 また、昨年の訓練では、避難所の住民に情報が十分に行き届いていないという指摘があったため、原子力事業所の担当者が、避難場所の体育館で、住民に状況を直接説明しました。
 井手よしひろ県議は、東海村の住民が避難した東電那珂火力発電所ふれあい広場の体育館とオフサイトセンターを視察しました。訓練それ自体は順調に進んでいる様子でしたが、やはりシナリオに則っての運営という批判は免れません。抜き打ち訓練や図上想定外訓練など、実際の状況により近い訓練が今後望まれます。
(写真上:東電那珂火力発電所ふれあい広場の体育館前で行われた避難者のスクーリング(被曝放射線の測定)、写真下:オフサイトセンターで行われた原子力災害対策本部会議)