公明党の主張で、低所得者などにきめ細かな配慮
 9月30日、障害者が地域で生活するための基盤確立をめざす障害者自立支援法案が閣議決定され、国会に再提出されました。同法案をめぐっては、日本身体障害者団体連合会や全日本手をつなぐ育成会、全国精神障害者家族会連合会など障害者5団体が今国会での成立を強く求めています。
 一方で、個々の障害者からは、福祉サービスと医療にかかわる利用者負担の増大を危惧する声も強くあるのが事実です。その背景には、法案の内容が正確に伝わっていないことや、具体的な負担額などが法律の成立後の政令や省令で定められることになっていることなどの問題点があります。この記事では、公明新聞10月5日付の記事をもとに、来年4月施行予定の利用者負担の概要を整理したいと思います。
福祉サービス

 福祉サービスは、サービス費用の定率1割負担を原則としつつ、所得に応じた一カ月当たりの負担の上限を定め、応益負担と応能負担を組み合わせた形となります。さらに食費、光熱水費の実費負担が加わります。
 負担の月額上限は、生活保護世帯に属する人が0円、市町村民税非課税世帯で障害者の収入が障害基礎年金2級相当以下(月6万6000円以下)の人が月1万5000円、その他の市町村民税非課税世帯の人が月2万4600円、一般(市町村民税課税世帯)が月4万200円に設定されます。
 しかし、障害者は収入を得る機会が少なく、低所得者が多数を占めることから、サービスの利用が後退しないよう、さらなるきめ細かな配慮が必要であると公明党が強く主張。その結果、さまざまな減免措置が取り入れられることになりました。
 特に、障害基礎年金以外に収入・資産がほとんどない障害者に対しては、(1)入所施設、グループホームの利用者を対象とした個別減免(2)ホームヘルプサービスや通所施設などを利用して地域で暮らす人を対象とした社会福祉法人減免――を設けます。
 このうち個別減免は、月収6万6000円(障害基礎年金2級に相当)以下の人は定率負担をゼロにし、食費などの実費負担だけにします。社会福祉法人減免は、サービスの提供主体である社会福祉法人が減免することで、負担の月額上限を半分にするというものです。
 これらの措置を講じても生活保護となるケースでは、生活保護にならない額にまで負担をより一層、軽減することになりました。
 入所施設および通所サービス利用者の食費、光熱水費の実費負担についても、低所得者(市町村民税非課税世帯)の利用者負担は軽減されます。
 負担の月額上限は所得によって異なるが、どの範囲までの所得を基準とするかで負担額は全く異なってきます。公明党は「世帯でなく、障害者本人の所得を基準にすべき」との当事者団体の声を代弁し、政府に要請してきました。その結果、原則は世帯の所得とするが、障害者と同一の世帯に属する家族などがいる場合でも、税制や医療保険で被扶養者とならない時は、障害者本人とその配偶者の所得のみを基準とすることも選択できるようになりました。
医療サービス

 医療の利用者負担に関する基本的な考え方は、従来の「医療費に着目した定率負担(精神通院医療は5%)と所得に着目した負担(更生医療・育成医療)」を制度間のバランスと安定性確保の観点から見直し、「医療費と所得の双方に着目した負担」に統一されまする。
 現在の障害ごとに異なる医療制度は自立支援医療として一元化されることになります。
 自立支援医療では、医療費の定率1割負担を原則としつつ、所得に応じて負担の月額上限を設定する。これに身体障害者の更生医療(18歳以上)と育成医療(18歳未満)では、入院時の食費が自己負担となります。
 医療においても、定率1割負担の導入に障害者の間から不安の声が上がり、公明党は低所得者へのきめ細かな配慮を強く求めてきました。その結果、負担の月額上限は生活保護世帯に属する人が0円、収入が障害基礎年金2級のみの人が月2500円、同年金1級のみの人が月5000円に抑えられました。
 また、低所得者(市町村民税非課税世帯)以外の人についても、継続的に相当額の医療費負担が発生する「重度かつ継続」の場合は、負担の月額上限を低く設定。医療保険の自己負担限度額(一般で月7万2300円強)が適用されるところが、「重度かつ継続」の場合は、負担の月額上限が所得税非課税の人で月5000円、所得税額30万円未満の人で月1万円、同30万円以上の人で月2万円に抑えられます。「重度かつ継続」の範囲は、(1)疾病、症状などから対象となる人(2)疾病にかかわらず、高額な医療費負担が継続することから対象となる人――の2種類があります。
 具体的には、精神通院医療では統合失調症、躁うつ病、難治性てんかんが、更生・育成医療では腎臓機能、小腸機能、免疫機能障害が疾病、症状の上から対象に決まっているが、さらに公明党は、この範囲について弾力的な対応を強く求めてきました。その結果、有識者の検討会が設置され、追加対象などの検討が始まっています。
 以上のほか、対象者に若い世帯が多い育成医療では、医療機関窓口における支払額について激変緩和の経過措置を導入します」(詳細は検討中)。
利用者負担の変化の具体例

表:1 グループホームから通所施設(更正施設)に月22日通うケース

所得
見直し前
見直し後
定率負担額
(負担率)
食費実費負担額
合計
課税
(年収500万円)
2万6500円
2万1500円
(10%)
1万4300円
3万5800円
収入が障害基礎年金1級のみ
(月8.3万円)
0円
2100円(1%)
5100円
7200円
収入が障害基礎年金2級のみ
(月6.6万円)
0円
0円(0%)
5100円
5100円

表:2 在宅で通所施設(更正施設)に月22日通うケース

所得
見直し前
見直し後
定率負担額
(負担率)
食費実費負担額
合計
課税
(年収500万円)
2万6500円
1万4900円
(10%)
1万4300円
2万9200円
収入が障害基礎年金1級のみ
(月8.3万円)
0円
7500円(5%)
5100円
1万2600円
収入が障害基礎年金2級のみ
(月6.6万円)
0円
7500円(5%)
5100円
1万2600円

表:3 知的障害児施設に入所するケース(18歳未満)

所得
見直し前
見直し後
定率負担額
(負担率)
食費実費負担額
合計
課税
(年収500万円)
2万9000円
1万8600円
(10%)
2万6400円
4万5000円
市町村民税非課税
(年収200万円)
2200円
1万2300円
(7%)
1000円
1万3300円

表:4 ホームヘルプ(月125時間)を利用するケース

所得
見直し前
見直し後
課税
(年収500万円)
3300円
2万2000円(10%)
収入が障害基礎年金1級のみ
(月8.3万円)
0円
1万2300円(6%)
収入が障害基礎年金2級のみ
(月6.6万円)
0円
7500円(3%)

表:5 精神通院医療
  統合失調症(重度かつ継続に該当)のため、デイケアなどを利用しているケース(医療費が月15万円程度)

所得
見直し前
見直し後
一定所得以上
(所得税額30万円以上)
7500円
1万5000円(10%)
市町村民税課税
所得税課税
7500円
1万円(7%)
所得税非課税
7500円
5000円(3%)
市町村民税非課税
収入が障害基礎年金1級のみ
7500円
5000円(3%)
収入が障害基礎年金2級のみ
7500円
2500円(2%)

表:6 更正医療
  小腸機能障害(重度かつ継続に該当)で中心静脈栄養を受けているケース(医療費が月22万円程度)

所得
見直し前
見直し後
一定所得以上
(所得税額30万円以上)
2万6150円〜
2万円(9%)
市町村民税課税
所得税課税
3450円〜  
 2万2000円
1万円(5%)
所得税非課税
2250円〜  
  2900円
5000円(2%)
市町村民税非課税
収入が障害基礎年金1級のみ
0円
5000円(2%)
収入が障害基礎年金2級のみ
0円
2500円(1%)