
自衛軍保持の改憲に期待 首相、空自観閲式で訓示10月30日、3年に一度開催されている航空自衛隊観閲式が、小川町の百里基地で行われました。観閲官の小泉純一郎首相や今津寛防衛庁副長官、吉田正航空幕僚長らが出席しました。航空自衛隊のF2支援戦闘機やF15戦闘機、E767早期警戒管制機、B747特別輸送機(政府専用機)など17機種計43機が観閲飛行を行いました。観閲式には、国会議員や各国の大使館関係者、一般参加者など6800人が参加しました。
livedoor News (共同通信2005/10/30)
小泉純一郎首相は10月30日午前、茨城県の航空自衛隊百里基地で行われた航空観閲式で訓示し、自民党が先に新憲法草案を決定したことを踏まえ、憲法を改正し「自衛軍」の保持を明確に規定することに期待を表明した。
首相は「長年の議論を経て、憲法上の自衛隊の位置付けについてようやく国民的な合意が形成されようとしている」と強調。「自衛隊の最高指揮官として諸君と心を一つにして、自衛隊の任務が立派に遂行されるよう内外の環境整備に全力を傾注する」と表明した。
自民党の新憲法草案は、9条を改正し、首相を最高指揮官とする「自衛軍を保持する」と明記している。
首相はまた、イラク派遣の陸上自衛隊による復興支援活動などを念頭に「海外で『日本国民の善意を実行する部隊』としての評価が定着し、期待が高まっている」と指摘。日本国内でも「多くの国民は(自衛隊活動に)高い評価を下している」と述べた。
観閲官の小泉純一郎首相は、「自衛隊は創設期から半世紀以上に渡る激動の歴史の中で、我が国の平和と独立を支える重要な任務を立派に遂行してきました。また安全保障環境の変化を受けて、自衛隊に求められる役割は多様なものになってきています。困難に遭遇したときにどのような行動をとるかによって、はじめて人間の価値がわかるといわれています。これまで、自衛隊の諸君の行動と実績によって、多くの国民は自衛隊に対して高い評価を下しております。海外においては、日本国民の善意を実行する部隊としての評価が定着し、期待も高まっています。国内でも長年の議論を経て、憲法上の自衛隊の位置付けについても、ようやく国民的な合意が形成されようとしています。私は自衛隊の最高指揮官として諸君と心を一つにして、自衛隊の任務が立派に遂行されるよう、内外の環境整備に全力を傾注いたします」と訓示しました。
その後、F14による緊急発信(スクランブル)、C1、C130輸送機による物資の空中投下などのデモンストレーションが行われ、最後に小松基地所属のブルーインパルス6機による曲技飛行が披露されました。
百里基地での航空観閲式は、民間との共用化が進んでいるため今回が最後になる可能性があります。憲法論議の高まりやアメリカ空軍のF14戦闘機の百里基地での訓練が公表されるなど、一つの節目で行われた今年の航空観閲式でした。

寝耳に水、地元に戸惑い F15訓練『百里基地移転』
東京新聞(2005/10/29付け)
米軍嘉手納基地のF15戦闘機の訓練移転先として、小川町の航空自衛隊百里基地が含まれていることが10月28八日、明らかになった。日米両政府の在日米軍再編協議で沖縄県の負担軽減策として浮上した移転計画だが、百里基地は民間との共用化計画が進行中。突然の移転計画に、地元自治体や県からは戸惑いの声も上がった。
「何も聞いていないので答えようがない。これからそういうことであれば正式な連絡がくるだろう」。百里基地への訓練移転について感想を求められたのに対し、橋本昌知事は28日の会見でこう述べ、移転については「寝耳に水」との認識を示した。基地を抱える小川町でも「計画を聞いておらず、何もコメントできない」とだけ話した。
百里基地の共用化については、県が1995年に「百里飛行場民間共用化構想」を発表。その後、96年の閣議決定を受け、2000年に運輸省(当時)が初めて1億円の事業費を予算化し、環境影響評価を経て、今年から本格的な事業がスタートした。
計画では、国交省が事業主体となって約250億円をかけて新たに2700メートルの新滑走路を建設する。駐機場や調整池、ターミナルビルのほか、周囲に新たな産業拠点「(仮称)空港テクノパーク」を整備し企業誘致を進めることを決定。開港後50年間の経済効果を1523億円と見積もっている。
百里がF15の訓練先になれば、共用化計画に影響が出る可能性もあるほか、騒音問題による地元の反対運動が加速する恐れもある。
日米共同訓練による百里の使用については、1990年に東京防衛施設局長から「百里基地の日米共同使用について」と題する文書が知事あてに出されており、「年間4回、1回につき3〜15日、年間で合計約4週間」の範囲で米軍も使用するとされている。
県によると、昨年は11月10日から9日間、実際に訓練で使用されたという。しかし今後、移転による訓練がこの範囲内に収まる規模かどうか、現時点では不透明だ。橋本知事は「これまでは使用上限よりも実際の使用回数が少なかった。若干増えるぐらいでは大きな問題にならないが、そこが分からないので答えられない」としている。
一方、小川町に住む百里基地反対同盟代表の川井弘喜さん(69)は「これ以上、騒音に悩まされるのはたまらない。F15の訓練が百里でどの程度行われるか分からないが、私は米軍が次々と来るのが一番恐ろしい。当然、抗議行動を起こすつもりだ」と不安を強めている。