12月17日、日立電鉄の車両(MC3023)は、旧久慈浜駅から留町地内の鉄道模型専門店「電車くん」(日立市留町3番地:大内裕司店主:連絡先0294-53-5999)に搬入されました。
 早朝4時に旧久慈浜駅を大型トレーラーに乗せられた車両は、約2キロの公道を通って、「電車くん」前に到着。前日に設置された台車に、大型クレーンで設置する作業が慎重に進められました。「電車くん」の店舗の周りには、地元住民の皆さんや「電車くん」のサポーター、マスコミ関係者などが大勢集まり厳しい寒さの中、作業の進捗を見守りました。
 9時30分、「ゴトン」という低い音が響き台車部分と車体がしっかりと接合され、車両は安住の地に静かに腰をおろしました。その後、パンタグラフなどが元に戻され、10時過ぎにはほぼ作業が完了しました。
 集まったマスコミ関係者のインタビューに店主の大内さんは、「単に模型店の宣伝のため電鉄の車両を保存するのではなく、多くのボランティアの方の力を借りて、日立電鉄の歴史を語り継げるような、電車ミュージアムのような場所にしていきたい」と、熱い思いを語っていました。今後、様々なイベントを企画していくということです。
鉄道模型専門店「電車くん」日立電鉄の車両が保管された「電車くん」の地図を表示

ちん電 第2の人生 日立で公開へ
読売新聞(茨城県版2005/12/18)
 ちん電の愛称で親しまれながら、今年3月末で創業77年の歴史の幕を閉じた日立電鉄線の車両1台が、日立市留町、鉄道模型専門店「電車くん」を経営する大内裕司さん(50)に払い下げられ、ちん電資料館として、第2の人生を歩むことになった。オレンジとクリームのツートンカラーの車両は17日早朝、旧日立電鉄線久慈浜駅から、1・7キロ離れた大内さんのお店まで大型トレーラーで運ばれ、待ちかまえた鉄道ファンや、地元の人たちに温かく迎えられた。ちん電24両のうち、嫁入り先が決まったのは、初めて。
 保存される車両は、営団地下鉄(現東京メトロ)銀座線で走行後、ちん電に払い下げられた、車両の両側に運転台がある3000系という形式で、長さ16メートル、幅2・7メートル、高さ4メートル、重さ36トン。
 大内さんは、子供のころから、ちん電と鉄道模型が好きで、今春には小学校教諭を辞め、10月に、自宅敷地に、鉄道模型専門店を開いた。ちん電車両の保存には、輸送費約160万円を含め、約200万円かかったという。
 大内さんは「ちん電の歴史を後生に伝える資料館にしたい。車両は、専門家にメンテナンスを頼み、いつでも走られる状態で公開したい。いつかどこかで、もう一度走らせて見たい」と、ちん電への熱き夢を語る。資料館に展示する、最終電車に飾られたヘッドマークや駅名表示板、信号機など約50点のちん電グッズをすでに収集した。
 駆けつけた鉄道ファンの石岡市東石岡、会社員通清水(とおりしみず)弘和さん(39)は「ここにくれば、いつでもちん電を見ることができる。ちん電は永遠に不滅です」と、長さ20メートルの本物のレールの上に載せられた、今にも動き出しそうなちん電に、カメラのシャッターを切っていた。資料館は、来年1月半ば以降に公開予定。問い合わせは大内さん(電)0294・53・5999。

購入した車両を据え付け
朝日新聞(茨城県版2005/12/18)
 日立電鉄の車両1両を購入することになった日立市留町の鉄道模型店「電車くん」=大内祐司さん(50)経営=で17日、車体の据え付け工事が行われ、車両の移転工事が無事終了した。
 車両内部には実際に運転したいた当時の座席やつり革などがつけられ、室内灯やヘッドライトも点灯するという。車両が置かれた線路も、日立電鉄から譲り受けたレールと枕木を使っている。
 大内さんは「多くの人が日立電鉄の思い出を振り返る場にしたい」。車両の登り口に階段を設置する予定で、来年1月頃に内部を公開するイベントを開きたいという。問い合わせは電車くん(0294−53−5999)へ。


日立電鉄:大内裕司さん、歴史語る証人に
車両購入、鉄道模型店わきに設置/茨城

毎日新聞(MSN毎日イントラクティブ 2005/12/19)
 「歴史の証人として末永く残したい」。今年3月末で廃線となった日立電鉄(日立市)の車両1両を同市留町の鉄道模型店経営者が購入し17日、同店舗わきに設置した。同電鉄には24両の車両があるが、売却は初めて。
 購入したのは、鉄道模型店「電車くん」を経営する大内裕司さん(50)。大内さんは小学校教諭だったが、小さいころからの鉄道ファンで、長年の夢を実現するため今年3月に退職し、10月に同店をオープンした。車両購入は「日立電鉄の歴史を末永く残し、多くの人に活用してもらえれば」と決めた。店舗前に長さ20メートルのレールも敷いた。
 車両は3000系で、長さ16メートル、幅2・7メートル、総重量は37トン。午前5時から、作業員約20人が大型トレーラーに積まれた車両を大型クレーンでつり上げ、慎重に約1時間かけて台車に乗せて無事移送を終えた。車体はオレンジとクリーム色で、前後に運転席があるのが特徴。廃線になるまで旧常北太田−旧鮎川駅間を運行していた。
 今後は「歴史の資料や鉄道グッズ、写真などを資料館として保存するだけではなく、大いに活用して日立電鉄の姿を見てもらいたい」と大内さん。公開は来年になるという。