公明党の主張が実現
安心して産み育てられる社会へ、2006年10月より実施

 公明党の主張を受け、出産育児一時金が2006年10月から、現行の30万円から35万円に増額されます。出産育児一時金に関する、これまでの経緯と妊娠・出産費用の現状、公明党の取り組みを、公明新聞(2005/12/26付け)の資料を基にまとめました。
費用負担の現状・分娩費は平均で36万円、妊娠・出産で計50万円
 厚生労働省は出産育児一時金に関して、現在の支給額である30万円の根拠として、旧国立57病院における分娩料の平均が31.7万円(2002年3月)であることを挙げていますが、民間医療機関を利用した場合も含めた実際の出産費用の平均は、30万円を大きく上回っています。
 財団法人・こども未来財団の「子育てコストに関する調査研究」(2003年3月)によれば、分娩・入院費の平均は36万4618円に達しており、定期健診の9万215円や妊婦用品の購入をはじめとした妊娠期間中の出産準備費4万8849円を含めた、妊娠・出産費用の総額は50万3683円にもなります。
 今回の一時金拡充にとどまらず、大幅な引き上げが今後の課題となります。
妊娠・出産の費用
費 用
平均額
出産費
454833円
出産費内訳定期健診(交通費を含む)
90215円
分娩・入院
364618円
妊娠期間中の出産準備費
48849円
妊娠期間中の
出産準備費の内訳
妊婦用品・衣料など
25215円
妊娠中の運動・学習など
6480円
妊娠中の家事・育児補助関連
6201円
胎教用品・教室など
600円
里帰り出産
7965円
妊娠・出産前後の交通費
2388円
合計
503683円
*「子育てコストに関する調査研究」(2003年3月、こども未来財団)から
公明党の出産一時金拡充への取り組み
 公明党はここ数年来、出産費用の実態を踏まえ、出産育児一時金を現行の30万円から大幅に引き上げることをめざし、国会で機会あるごとに取り上げるとともに、活発な署名活動を全国各地で展開するなど全力を挙げてきました。
 今年(2005年)に入ってからは、3月に党少子社会総合対策本部がチャイルドファースト(子ども優先)社会の構築に向けてまとめた緊急提言で、出産育児一時金の引き上げを求めたほか、夏の衆院選に際して発表した「マニフェスト2005」には、出産育児一時金の50万円への引き上げを盛り込みました。
 国会では、神崎武法代表と浜四津敏子代表代行が9月、衆参両院の代表質問で取り上げたほか、衆院予算委員会でも井上義久政務調査会長が2月に、太田昭宏幹事長代行が9月に一時金の増額を強く迫るなど、党幹部が先頭に立って取り組んできました。
 また、党東京都本部は4月、厚労省に当時の西博義副大臣(公明党)を訪ね、約49万人分の署名簿を添えて、出産育児一時金の増額など子育て支援の拡充を求める要望書を提出しました。
 こうした粘り強い取り組みの結果、政府・与党が12月1日に決定した医療制度改革大綱の中に、出産育児一時金を35万円に増額することが明記されました。実施は06年10月からです。
 公明党は子どもを安心して産み育てられる社会をめざし、今後も出産育児一時金の充実はもとより、妊産婦健診への助成拡大、不妊治療への公的支援の拡大など、総合的な支援策を強化していきます。
20→24→30万円へと支給額の充実を推進
 出産育児一時金は、出産費用の負担軽減を目的として、主に各医療保険の保険料を財源に支給されています。
 子どもを安心して産み育てられる環境整備の観点から非常に重要な施策であり、公明党は実際の費用負担に見合った増額を一貫して主張し、出産育児一時金の充実に取り組んできました。
 それにより、20年前の1985年に20万円だった分娩費は92年には24万円に引き上げられ、94年には分娩費と育児手当金を統合して出産育児一時金を創設し、支給額は30万円に増額されました。
 さらに2002年からは、支給対象者が本人または配偶者から、全被扶養者にまで拡大されました。
「出産育児一時金」のこれまでの経緯
 
分娩費
育児手当金
1961年
3000円
2000円
1969年
10000円
2000円
1973年
60000円
2000円
1976年
100000円
2000円
1981年
150000円
2000円
1985年
200000円
2000円
1992年
240000円
2000円
1994年
300000円
分娩費と育児手当金を統合し、「出産育児一時金」を創設
2002年
対象者を本人または配偶者から、全被扶養者にまで拡大


(2006/5/12更新)
 出産育児一時金の35万円への引き上げ時期が、なぜ、10月1日からなのかというご質問やこれに対するご意見をたくさんいただきました。大変ありがとうございます。
 厚労省より口頭での回答をいただきましたので、ご報告させていただきます。
 この出産育児一時金の拡充(見直し)は、医療制度改革全体の一つの項目です。したがった、その財源は、医療制度改革の中から捻出するものです。高齢者の患者負担増や、高額療養費の自己負担限度の引き上げなどが財源となっています。
 その高齢者の患者負担の見直しや高額療養費の自己負担減と引き上げの時期が、2006年10月1日であり、その財源に見合った時期から出産育児一時金の増額を行うこととしたということです。
 国の財政に余裕があれば、新たな給付を全く新しい財源から行うことができ、4月1日から実施するようなこともできるのでしょうが、財政が逼迫している中では、負担増をお願いした中から、サービスの拡充の費用を捻出する必要があったわけです。