扶養控除を見直し給付への一元化の検討を
 2月9日、衆議院予算委員会で公明党の井上義久政務調査会長は、児童手当の抜本的拡充を財源案も含めて、小泉首相に提案しました。
 公明党は1969年、東京都で児童手当制度を創設させたのに続き、72年には国レベルでの制度化を実現。近くは99年、ヨーロッパ並みの児童手当制度の創設を提案し、手当の抜本的拡充を主張し続けてきました。
 その結果、連立政権に参加後、今日まで4度の児童手当拡充が実現。今年(2006年)4月からは支給対象年齢が小学校6年生までに拡大され、所得制限もさらに緩和されることになりました。これにより支給対象児童数は99年の241万人から1310万人へと5.4倍に増えることになります。
子どものイラスト 公明党が99年に提案した中身は、現行の支給額(第1、2子に月5000円、第3子以降に月1万円)を倍増(第1、2子に月1万円、第3子以降に月2万円)するとともに、対象年齢を義務教育修了までに拡大し、所得制限を全廃するものです。
 井上政調会長は予算委員会で少子化への対応について、働き方の見直しや仕事と育児との両立支援の充実を訴えるとともに、税控除から社会保障給付(手当)へと経済支援を一元化し、児童手当を抜本的に拡充するよう訴えました。
 税制の扶養控除(38万円)は、現行の累進課税制度の中では、高額所得者ほど減税効果が大きく(つまり、所得税を多く払った人ほど税の還付金が多く受け取れることになります)、反対に、そもそも所得税を余り支払っていない低所得者ほど恩恵が少ない、という矛盾が起こっています。
 そこで、この税控除を廃止して、児童手当拡充の財源に充てることは、児童手当の財源の確保とともに、今日的課題である日本社会の所得格差の是正にも役立つ提案です。
 公明党が連立政権に参加し、児童手当の拡充を主張した当初は、「バラマキ」などと一部政治家やマスコミから批判されました、今日では児童手当の思い切った拡充案が支持を広げつつあります。児童手当充実は、少子化対策の重要な柱であることに、国民的コンセンサスを形成されつつあります。
 昨年(2005年)4月、国立社会保障・人口問題研究所の編集による「子育て世帯の社会保障」が発行されました。同書は、児童手当について、「扶養控除を廃止し児童手当に一本化するだけでも児童手当の対象年齢や支給額をヨーロッパ並みに拡充することができるが、これを『ベースライン』に置き、さらなる充実に向けて国民的な議論を行う必要がある」との見解を示しています。
 児童手当の抜本的拡充をめざし、扶養控除を見直し給付への一元化する検討を、今始める必要があります。