消費者金融大手の違法な取り立てに金融庁が厳罰
 4月14日、金融庁は消費者金融大手の「アイフル」に対して、5月8日から3〜25日間、顧客からの返済など一部業務を除き、テレビCMなどの広告を含む全業務を約1900の全店舗で停止するよう命令したと発表しました。金融庁が、昨年実施した検査の結果、強引な借金取り立てなどの違法行為が5カ所の拠点で発覚。内部管理や法令順守意識の徹底が全社的に不十分と判断し、異例の厳罰を科しました。
 金融庁によると、アイフル五稜郭店(北海道)は、認知症の患者にまで貸し付けていました。2004年3月、患者の代理人が融資契約の取り消しを申し入れたが、その後も取り立てを続け、申し入れの事実を記録していませんでした。コンタクトセンター福岡(福岡市)は、返済が滞った顧客に督促を担当する部署が、電話で自宅に連絡できるのに、わざわざ勤務先にかけていました。顧客がやめるように言っても勤め先への督促は続きました。新居浜店(愛媛県)は2004年11〜12月、返済資金を第三者から調達するようしつこく求め、「奥さんに話をさせてください。お母さんでも」と迫ったとされています。
 これらはいずれも、ヤミ金融の取り立てが社会問題化したことを受け、2004年1月に施行された改正貸金業規制法に抵触する悪質な取り立てでした。
 こうした処分を受けてアイフルでは、役員の処分を発表すると共に、コンプライアンス(法令順守)室の新設や訪問による債権請求業務の撤廃などを決定しました。
 また、人気のあったチワワのテレビCMなど広告を、5月末まで全面的に取りやめるなどの営業自粛策を打ち出しました。
 このような強引な取り立てなど業者の違法行為は、アイフル一社にとどまるものではないと思われます。それを一掃するためには、法規制の強化は喫緊の課題です。
 特に「グレーゾーンの金利」問題には早急に決着を付ける必要があります。利息制限法が定める上限金利は、年20〜15%となっている。が、高利の融資として刑事罰が科せられるのは、出資法の上限である年29.2%を超えた場合です。つまり、利息制限法の20%から出資法の29.2%の間の金利は違法ではあるが、罰則がない状態が続いています。
 こうした状況を永く放置しているのは、「政治の怠慢」以外何者でもありません。