がん治療の世界標準を網羅
 アメリカ国立がん研究所のデータベースの日本語版で、がんの治療法や、治療薬、各種がんの治療成績などを掲載した「がん情報サイト」(PDQ日本語版)が2006年2月から開設されました。
 「がん情報サイト」(PDQ日本語版)は、神戸市の臨床研究情報センター(TRI)がアメリカ国立がん研究所から許可を得て配信、毎月更新しています。
 また4月からは、患者向けのコーナーが設けられました。治療薬、推奨される治療法、各種がんの治療成績など情報を画像、図解をふんだんに使って平易な文章でまとめてあるのが特徴です。これまでは専門家向けだったため、読みづらかったが、専門用語も、クリックすると用語解説につながっており、患者が使いやすくなりました。
「がん情報サイト」開設
読売新聞(YOMIURI ONLINE 2005/3/7)
 日本では医師や医療機関によって、がんの治療法がまちまちであることが少なくない。日本語版を監修する京都大教授の福島雅典さんは「PDQにない治療は世界で通用する標準治療ではないと考えて良い。がんと診断されたら熟読し、不適切な治療を受けないことが重要」と話す。
 例えばごく早期の前立腺がんに、日本ではホルモン治療を行うことも多いが、PDQでは標準治療とはされていない。肺がんでは、副作用による死亡が相次いだ治療薬「ゲフィチニブ」(商品名イレッサ)は載っていない。
 ただ、もともと専門家向けの情報なので、一般の人には読みづらい。まず家庭医学書などで基礎知識を得てから読んだ方が理解しやすい。国立がんセンター(東京)のホームページにも、がん診療が解説されており、基礎知識として参考になる。
 「がん情報サイト」には、抗がん剤やその副作用、日本で承認されていない薬、逆に日本だけでしか使われていない薬のリストもある。さらに痛み、うつ、睡眠障害など、がんに伴う様々な問題への対処法も書かれている。京都大などのがん治療成績や、国内で実施されている臨床試験の一覧表もある。
 福島さんは「将来は主要ながん専門病院の治療成績や、在宅ケアを行う医療機関などの一覧表を盛り込み、幅広いがん情報を入手できるサイトにしたい」と話している。

参考:がん情報サイト(PDQ日本語版)