県議会は6月16日、今年12月に予定される県議選の選挙区や定数などを一部見直す条例改正案を、自民・公明・自民県政・民主などの賛成多数で可決しました。
 つくば市選挙区を定数3から4に増やし、古河市区を2から1に減らす内容です。また、潮来市区を新設し、旧行方郡区と合わせた定数2としました。それ以外の選挙は、2010年12月の選挙までに抜本的な見直しを行うことを、提案の理由の説明の中で明言しました。
1増1減の議員定数改正条例の提案説明
 ただいま上程されました、議第7号「茨城県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例の一部を改正する条例案」について、提出者を代表いたしまして、その提案理由を御説明いたします。
 本年12月に予定される県議会議員の一般選挙の選挙区については、平成16年第3回定例議会で制定した「市町村の合併に伴う茨城県議会議員の選挙区の特例に関する条例」において、平成16年10月16日以後に合併した市町村については、合併前の従前選挙区で実施することとされております。
 しかし、この特例条例の付則では、選挙区と選挙区の定数については、市町村合併による 郡市の区域の変更の状況及び平成17年国勢調査人口の結果等を勘案して早直しをし、必要があるときは、この特例条例等の改正のため必要な措置を講じることとされております。
 そこで、今般平成17年国勢調査人口の速報値を受け、選挙区と選挙区の定数を総合的に検討した結果、選挙区条例について、選挙区の定数の改正を行うこととし、本年12月に予定される一般選挙において適用しようとするものであります。
 なお、この改正は、本年12月の一般選挙に係る議員の在任期間についてのみ適用するものであり、平成22年12月に予定される一般選挙にあたりましては、選挙区の区割り及び定数の抜本的な改正を行うことにしたいと考えております。
 初めに、つくば市選挙区の定数の見直しですが、平成17年国勢調査の結果、定数5人の日立市の人口が19万9,203人に、定数3人のつくば市の人口が20万546人となり、両選挙区間において定数上2人の逆転現が生じているため、つくば市選挙区の定数を4人とすることと致します。
 一方日立市選挙区については、人口総数ではつくば市より少ないものの、有権者人口ではつくば市より約1万3千人多い実情を考慮し、定数を据え置くことと致しました。
 また、選挙区ごとの定数を比較検討した結果、定数2人以上の選挙区について不均衡を是正するため、議員1人当たりの人口の最も少ない古河市選挙区の定数を1滅することに致しました。
 次に、潮来市選挙区は、平成13年4月の合併後、潮来市の合併に係る特例条例を適用し、平成14年12月の一般選挙を、合併前の従前の選挙区により行ったところであり、今回特例一条例の適用が終了することとなります。
 したがって、潮来市選挙区について、潮来市単独とするのか、他の郡市と合区するのか判断することとなりますが、潮来市の議員1人当たりの人口を見ますと、他の選挙区と比較し相当低位でありますことから、潮来市と隣接の旧行方郡とを合区し、その定数を従前どおり2としようとするものであります。
 その他の選挙区及び選挙区別定数につきましては、現行どおりとするものであります。
 最後に、本条例の発議に当たりましては、自由民主党並びに自民県政クラブ及び公明党との意見の一致を見たことをここにご報告申し上げ、本議案に対し議員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案の趣旨並びに理由の説明といたします。
県議定数1増1減 共産除き賛成改正条例可決
茨城新聞(2006/6/17 1面トップ)
 県議選挙区のつくば市区・古河市区(旧古河市区域)の定数を各一増一減する条例改正案が十六日の県議会に議員提案され、共産党二人を除く全会派の賛成多数で可決された。改正案は現行の選挙区割りを前提としており、これが議会のほぼ総意で可決されたことで、今年十二月の県議選は現行の区割りで実施されることになった。
 改正案は議会最大会派の自民党、第二会派の自民県政クラブ、公明党の各代表ら計六人によって共同提案された。採決で▽自民党(四十六人)▽自民県政クラブ(七人)▽民主清新クラブ(五人)▽公明党(三人)▽無所属(一人)がそろって賛成し、反対は共産党の二人だけだった。
 改正条例は、つくば市区の定数を一増の四議席、古河市区を一減の一議席に見直す内容。つくば市区の一増は昨年の国勢調査の結果、同市区(定数3)の人口が日立市区(同5)を上回ったことから両市区間の議席配分の不均衡を是正するのが狙い。古河市区(同2)の一減は、同市区が議員複数区(二人以上区)の中では議員一人当たりの人口が最少だったことから、選挙区間の「一票の格差」を縮小するのが狙い。
 条例案の提案理由の中で、提案者代表の長谷川大紋氏(自民)は「改正は本年十二月の選挙に適用され、(次回改選の)二〇一〇年十二月の選挙では区割り・定数の抜本的な改正を行いたい」と述べ、区割りの据え置きは暫定措置で、向こう四年のうちに抜本的な見直しに着手する考えを言明した。
■県議会 区割り維持「信任」 総意形成、調整の色合い
 平成の大合併に伴う県議選挙区の見直し論議は、ひとまず終止符が打たれた。十六日の県議会に提出された一増一減条例案は、区割りの「現状維持」を前提にしており、これをほぼ全会派がそろって可決したことは、区割りの当面据え置きに対する議会としての「信任」を意味するからだ。
 県議選挙区は一連の合併に伴い、全三十五区のうち計二十四区で現在の市町村の枠組みと合致しない。県議選挙区が市内に二つできるケースも計十四市あり、現在の市町村区域に沿って選挙区割りを見直すよう求める声も上がっていた。
 しかし、主に自民党サイドでは、水戸市・茨城町合併など市町村編成はなお流動的として据え置きを求める声が強かった。一増一減案を中心になって取りまとめたのは自民党県連トップの山口武平県議会議長だが、背景には区割りの据え置きを議会の「総意」とすることへのこだわりがあったとみられる。
 今年の県議選を現行の区割りで実施することは、もともと二〇〇四年九月、合併特例条例が成立した時点で既定路線になっていた。しかし、この際に賛成したのは自民党、自民県政クラブの二会派だけで、民主清新クラブと公明党は区割りの全面見直しを掲げて反対に回っていた。今年の県議選を同条例に基づいて実施したとすれば、議員選出の在り方をめぐる反対論を最大会派が数の力で押し切った格好になり、選挙の信任性も問われかねない。県議会がこれまで選挙区問題についてはおおむね全会一致を不文律としてきたのも、このためだ。
 一増一減案は、議会の「総意」づくりへの調整案の色合いが濃い。つくば市区の一増について、公明は「定数4以上の選挙区であれば、議席を狙える」(同幹部)と歓迎。代わりの一減の対象を日立市区(定数5)でなく、古河市区(定数2)にしたのも、日立市区に所属議員二人を抱える民主清新クへの配慮とのうがった見方もある。