幼稚園と保育所の両方の機能を併せ持つ「認定こども園」を整備するための「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案」が今国会で成立しました。「認定こども園」は、各県の条例整備などを経て10月からスタートする予定です。
 幼稚園と保育所の機能を一体化させ、現場の多様なニーズに応える幼保一元化は、実現が叫ばれながらも縦割り行政の弊害などで具体化が進みませんでした。それが「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(いわゆる骨太の方針2003)で、幼保一元化施設について、05年度にモデル事業を先行実施し、必要な法整備を行い、06年度から本格実施することが明記されました。
参考写真 就学前の子どもを取り巻く環境は大きく変化しています。少子化の進行や共働き家庭の増加、教育・保育ニーズの多様化、育児不安の増大といった課題に対し、現行の硬直化したサービス提供の枠組みでは対応しきれていない現実があります。
 現状は、親の就労の有無で利用施設が限定されています。一般的に、親が働いていれば保育所で、働いていなければ幼稚園となります。このため、保育所の利用者がより充実した教育を受けさせたい、あるいは、幼稚園の利用者が子どもを長く預けて働きたいと思っても、そうしたニーズを満たすことは困難です。
 また、保育所の待機児童が全国で2万3000人に上る一方で、幼稚園の利用児童は10年間で10万人減少しています。保育所は待機待ち、幼稚園は大幅な定員割れといった地域もあります。自治体が財政難の中で地域の限られた資源を生かし、効率化を図る観点からも、幼保一元化は大きな期待が寄せられているのです。
 認定こども園では、0歳〜就学前のすべての児童を対象に幼児教育と保育を一体的かつ一貫して提供します。親の就労の有無にかかわらず施設の利用が可能で、教育・保育の多様なニーズに応えるとともに、既存の幼稚園の活用による待機児童の解消も期待されています。
 加えて、地域における子育て支援(例えば、相談や親子の集いの場の提供)を認定に当たっての条件とする考えです。利用料は基本的に各認定こども園で決定。利用者は認定こども園と直接、契約することになります。
 施設の形態4種類あります。
(1)幼稚園と保育所が連携して一体的に運営を行う幼保連携型
(2)幼稚園が機能を拡大する幼稚園型
(3)保育所が機能を拡大する保育所型
(4)幼稚園・保育所のいずれの認可もないが、地域の教育・保育施設が機能を果たす地方裁量型

 職員配置などの具体的な認定基準は国が定める指針をもとに都道府県が条例で決定します。条例に基づき、都道府県知事が認定を行います。地域の実情を踏まえて、どう認定こども園を整備し、運用するか、都道府県の力量が試されます。茨城県では、9月議会に条例案が提出されることになります。