7月23日、民音主催の中国京劇院公演「三国志〜諸葛孔明〜」を観賞しました。
 題材が日本人にもなじみの深い三国志とあって、わくわくしながら県民文化センターに向かいました。
 中国京劇院は、1955年創立以来、中国文化部直属の芸術団体として世界との文化交流を促進し、国際的にも名声を博しています。50年におよぶ活動から、伝統および創作演目を500作以上も完成させました。
 今回の上演作品は、中国京劇院院長呉江氏が、日本公演のため新たに構成、執筆したものだそうです。三顧の礼、長坂坡、赤壁の戦い、空城計、五丈原など、京劇への造詣に乏しい私でも、話の筋は理解できます。
 実際に観賞してみて、「すばらしい」の一言でした。伝統に裏付けられた出演者の演技は、言葉が分からない観客にもその心の叫びが充分に伝わりました。緩急取り混ぜた演出は時間の経過を忘れさせ、2時間に及ぶ上演時間はあっという間に過ぎてしましました。
 特に、各場の間に挿入された中国京劇院初の日本人俳優・石山雄太さんの日本語の狂言回は、巧みに物語の流れをつないでくれ、それでいて単なる説明の域を超えており、すばらしい演出でした。
 最終場の五丈原は、この公演のためにわざわざ書き加えられたと聞きました。諸葛孔明のモノローグに近い内容で、一人の英雄が死を迎えるという難しいシーンを見事に描き出し、この演目自体を精神性の高い作品に引き上げています。
橋本昌県知事と段北生訪日団団長 カーテンコールの感激もやまない公演終了後、来賓として鑑賞していた橋本昌県知事らと共に、段北生訪日団団長、宗官林副団長、張建国芸術監督らを舞台裏に訪ね、公演の感激を京劇院の皆さまに伝えました。
 橋本知事は、「すばらしい演目を茨城で公演していただいて感謝申し上げます。大変な熱演で、演技をされた皆さまはお疲れになりませんか」とたずねると、段団長は「中日友好のため皆、全力投球しています。水戸は偕楽園や芸術館など文化の豊かな土地柄。今日の公演も観客の皆さまと一体になってすばらしいものができました。日本では、あと15公演ありますが、しっかりと務めていきます」と語りました。
 期待以上の中国京劇院の公演。お近くで公演がある際は、是非ご観覧下さい。おすすめです。
参考:中国京劇院「三国志」の公演日程