政府は8月12日までに、公共サービスの担い手を競争入札で決める市場化テストを当面、11事業を対象に実施することを決定しました。
 このうち、ハローワークの就職支援や求人開拓、社会保険庁の国民年金保険料収納事業など6事業は2007年度から実施する方針です。9月初旬に閣議決定する市場化テストの本格実施に向けた基本方針に盛り込む予定です。
 政府が作成した「各事業の実施スケジュール」によると、07年度はこのほか(1)管理職や専門・技術職の職業紹介(2)職業訓練課程の開発・実施(3)若者のキャリア形成を支援する職業体験――が実施されます。これらのうち国保料収納を除く5事業は、いずれも年内に官民または民間だけの競争入札で新たな担い手事業者を決定します。事業期間は1年〜3年とします。
 このほか、登記事項証明書交付事業は08年度から実施予定。さらに、年金電話相談事業や統計センター業務など4事業も対象としますが、実施時期は未定としています。
市場化テストが行われる主な事業
・国民年金保険料の徴収
・厚生年金の加入促進
・年金の電話相談
・管理職経験者への就職支援
・就職先企業の開拓
・管理職や技術者向け職業紹介
・ホワイトカラーへの職業訓練
・若年者に向けた職業体験
・登記事項証明書交付事業
・統計センター業務

 市場化テストとは、これまで政府や各省庁など「官」が独占して提供してきた公共サービスを、官と民間が対等な立場、公平な条件の下で入札し、価格と質で優れた方が落札してサービス提供する制度です。語源は、英サッチャー政権が1980年代に導入した「Market Testing」です。
 公共サービスに競争原理を導入することにより、より良いサービスの実現や、コスト削減を図ることなどが目的で、米国や英国では水道や道路の管理、刑務所の運営などで市場化テストが導入され、成果をあげています。日本でもハローワーク業務の一部や、国民年金保険料の徴収業務などで民間事業者に委託するモデル事業が05年度から実施されています。

(2006/9/6更新)
 9月6日、政府は市場化テストを行う9事業を正式に閣議決定しました。今後も、対象事業を拡大する予定です。
市場化テスト、まず9事業を閣議決定