公明党が利用者負担の軽減などを求める緊急要望
参考写真 8月14日、公明党の浜四津敏子代表代行、冬柴鉄三幹事長と、社会保障制度調査会、厚生労働部会、障害者福祉委員会の代表は、厚生労働省で川崎二郎厚労相と面会し、今年10月に全面施行される障害者自立支援法について、利用者負担の軽減などを求める緊急要望を行いました。
 席上、冬柴幹事長は、「公明党が全国各地で開催している列島縦断フォーラムや夏季議員研修会では、障害者自立支援法に関する質問や要望が多く出される」として、障害者が福祉サービスを利用する際に課せられる負担や、障害者の通所・入所、就労施設などが抱える課題について、厳しい実態を指摘。その上で、利用者負担の軽減や施設に対する支援措置などを強く求めました。
 要望書では、利用者負担について、障害児のいる家庭と一般の子育て家庭との負担を公平にすべきとし、通所・入所施設の利用に対する軽減措置の拡充を要請しています。入所施設への支援措置については、強度行動障害など重度の障害者を受け入れた場合の報酬の見直しや、報酬の支払い方式が月額から日額に移行されたことに伴う急激な収入減を防ぐための保障措置のほか、グループホームやケアホームにおける夜間支援体制について、報酬上の適正な評価を求めました。
 また、預かる子どもの年齢構成割合を定めた児童デイサービスの定員要件と労働者全体に占める障害者の雇用割合を決めた就労施設要件の緩和を要望しました。
 このほか、自治体独自の負担軽減措置やサービスの利用状況などに関する全国調査の実施や、利用者負担の軽減につながる減免制度などの周知徹底なども求めています。
 川崎厚労相は要望の趣旨に理解を示し、「できる限り対応したい」と表明。特に、障害児の利用者負担に対する軽減措置については、前向きに取り組む考えを示しました。
 公明党の緊急要望の全文
「障害者自立支援法」完全施行にあたっての緊急要望
 障害者福祉サービスの安定した拡大を実現する抜本改革として成立した「障害者自立支援法」は、本年4月より施行され、10月より全面施行がなされることとなっている。
 現在、10月の全面施行に向け、国においては新たな制度の周知・広報や諸基準の策定などの準備に全力を挙げて取り組んでいるとともに、都道府県や市町村においては、国の作業を受け障害者当事者等への説明や障害程度区分の認定など準備に万全を期すため多大な努力を頂いているところである。
 「障害者自立支援法」は分立していた障害者福祉サービスを一元化することにより精神障害に対する福祉サービスを身体・知的障害と同等に位置づけるとともに、サービス給付の安定した財源の確保を実現し、障害者福祉サービス全体をより体系的なサービスへと再編を図ることにより今後の障害者福祉の発展の基盤となるものであるが、一方では、当事者の負担のあり方や、新たな報酬体系の下での事業運営、さらに新たな事業体系への移行等について様々な課題の指摘がなされている。また新たな制度への理解が必ずしも十分でないことから多くの不安を当事者の方々が抱いていることも事実である。
 こうした実態や当事者の方々からの要請を踏まえ、「障害者自立支援法」の円滑な全面施行を実現するため、以下の事項につき早急に適切な対応を実現されるよう緊急に要望するものである。また今般の緊急要望事項以外についても様々な指摘がなされており、同時に十分な配慮を求めるものである。
◎「障害者自立支援法」における障害福祉サービスや自立支援医療などの利用者負担について、その負担軽減のあり方についての検討を行い、速やかに必要な措置を講ずること。
◎「障害者自立支援法」の全面施行にあたり、以下の事項につき早急に適切な対応を講じること。
  • 障害児の利用者負担については保護者の収入による負担となり、子育て中の家庭にとって負担感が強いため、通所施設、入所施設ともに一層の負担の軽減措置を講ずること。特に通所施設の利用者負担については一般の子育て中の家庭の負担との公平性の観点からも軽減措置を図ること。
  • 児童デイサービスの定員要件等の基準については、少子化によりその基準を満たすことが厳しく事業の継続が困難である等の指摘を踏まえその緩和を図ること。
  • 心身障害者共済制度給付金について、その制度創設の趣旨を踏まえ個別減免、あるいは社会福祉法人減免制度における収入認定について配慮すること。
  • 入所施設の報酬について、日額化による影響、強度行動障害など重度の障害者についての評価の見直し、夜間支援体制の評価の見直しなどによる影響を踏まえ、安定した経営がなされるように適切な対応を図ること。また、日額支払い方式への移行により急激な収入減となり経営に支障をきたすことがないよう必要な保障措置を講ずること。
  • 北海道や東北などの寒冷地においては、他の地域に比較して必要な燃料費等の負担が大きいことを踏まえ、必要な対応を講じること。
  • グループホーム・ケアホームにおける夜間支援体制に関して実態を踏まえ適切な報酬上の評価を行うこと。
  • 「A型(雇用型)就労継続支援事業」について障害者以外の者の雇用について2割の基準が厳しすぎ要件を満たすことが困難であるとの指摘を踏まえその基準の緩和を図ること。
  • ホームヘルプ等の国庫負担基準を障害者個人のサービスの上限とするのではなく、一人ひとりの事情を踏まえた支給決定がなされるよう各自治体への周知を図ること。また、重度障害者の必要な介護の実態を踏まえた支給決定が行われるように配慮すること。
  • 小規模作業所等の地域活動支援センターへの移行を円滑に進めるため、必要な財源の確保を図るとともに、移行が困難な小規模作業所等についてもその事業の継続を確保するために必要な支援を行うこと。
  • 社会福祉法人減免などの減免制度について十分な広報を行うとともに、適切にその利用がなされるよう必要な措置を講じること。また社会福祉法人以外の法人においても減免の実施が適切に行われるよう必要な措置を講じること。
  • 障害程度区分の適切な判定が行われるよう自治体に対して必要な指導・助言・情報提供を進めること。特に2次判定における程度区分の変更についての具体的な指針、医師の意見書の作成についての具体的な指針を示すこと。
  • 利用者負担の軽減措置の自治体での実施状況、障害者の福祉サービスの利用状況、事業者の経営状況など「障害者自立支援法」の施行状況について速やかに全国調査を行い、その結果を踏まえ必要な措置を講じること。
  • 地域生活支援事業に位置づけられる手話通訳の利用に際し、利用者負担の地域間格差が生じないよう必要な配慮を行うこと。
  • 市町村民税の所得割金額を基準に設定される自立支援医療の利用者負担の月額上限について、市町村民税のフラット化が行われることを踏まえ適切な対応を講じること。