8月20日、桜川市で市議会解散の是非を問う住民投票が行われ、開票の結果、賛成1万8280票、反対1055票の圧倒的多数で、議会の解散が決定しました。市議会は即日解散され、出直し選挙は21日に開催される市選挙管理委員会で決定されます。公選法では40日以内に投票が行われることなっているため、9月17日告示、24日投票の日程が濃厚です。

桜川市の住民投票結果
当日有権者数39,354人
投票率49.91%
解散に賛成18,280(94.5%)
解散に反対1,055(5.5%)

 桜川市は、2005年10月1日に岩瀬町、真壁町、大和村の2町1村が合併して誕生しました。合併時、在任特例を採用して旧議会議員47人が市議会議員となりスタートしました。
 今年2月、「市の規模からみて議員の数が多すぎる。合併の趣旨の行財政効率化に逆行する」一市民が声を上げ、署名活動を始めました。結果は、住民投票に必要な有権者の3分の1以上の署名が集まらず、解散を求める運動は一度は頓挫しました。しかし、この間、賛同者が住民団体を結成し、4月13日から、改めて署名集めが展開されました。この署名運動は大きな広がりを見せ、有権者の半数を超える2万1135人の署名が集まりました。選管の審査や異議申し出で、その内、1万9370人の署名が有効となり、6月30日に本請求されていました。
 一方、桜川市議会は2回にわたり自主解散決議案を否決。解散反対の弁明書を可決し選管に提出しました。自主解散決議案の否決以降、辞職する議員が相次ぎ、当時在職していた45人のうち23人が辞職するという異常事態となっていました。
 更に、解散に反対する市議8人は「合併特例法の在任特例を適用して任期は2007年9月30日までと決めたのに、地方自治法に基づく住民投票で議員の身分を失うのは納得できない」と住民投票の差し止めを求めて、裁判所に提訴まで行っていました。8月9日、水戸地裁は、この差し止め仮処分を却下し、この日の住民投票が行われました。
 今回の桜川市の解散に至るまでの経緯は、私たち議会人に様々な示唆を与えてくれます。まず第一に、議員はあくまでも住民の意思によって立つという大原則を忘れてはいけないと言うことです。合併協議会の中での在任特例採用の議論の重さは十分に理解できますが、住民がその結論を否とするならば、議員はその判断を最大限に尊重すべきでした。合併特例法と地方自治法のどちらが優先するかと行った判断を求める訴訟など、全くナンセンスです。旧桜川市議は、自主解散できなかったことを率直に反省すべきだと思います。
 その上で、市議会議員は、財政面の議論だけではなく、合併後の様々な課題に対して議員が積極的に市民の中に入り、その解決を目指す姿勢を鮮明にする必要があったということです。そうした真摯な姿勢を市議会議員が示せたならば、住民は多くの議員が在任するコストも、課題解決の必要経費として認めていただけたのではないでしょうか。
 議会解散を巡る動きは、今後、笠間市などでも進んでいます。まだまだ、こうした動きから目を離せません。