庶民感覚からはかけ離れたニュースを取り上げたいと思います。元ライブドア取締役で、投資家の榎本大輔さんの話題です。
 榎本さんは1998年7月、ソフトウエア開発会社・有限会社プロジーを創業。2000年には、株式会社プロジーグループ代表取締役に就任しました。02年9月に、株式会社オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)へプロジーグループを売却し、オン・ザ・エッヂ取締役兼最高戦略責任者に就任しました。この際、オン・ザ・エッジ株をプロジー株との株式交換で取得しました。03年6月にオン・ザ・エッヂを退社。オン・ザ・エッヂ社株の売却益などを元手に複数のIT企業の株を購入し、04年までに約30億円の売却益を得たとされています。その後も、投資ビジネスを続け、資産総額は一時、約50億円に達しました。
 こうした膨大な資産を元に、米スペースアドベンチャーズ社が企画した宇宙観光の旅に申し込み、順調にいけば9月14日発射予定のロシアのロケット「ソユーズ」に乗船する予定でした。旅行費用は2千万ドル(約23億円)という途方もない金額です。
 順風満帆であった榎本さんの人生も、ここに来て大きな曲がり角を迎えたようです。
 まず、7月には所得税の申告漏れがあったことが、マスコミに一斉に公表されました。榎本さんは、東京国税局の税務調査を受け、04年分までの3年間の株売却益を全く申告していなかったとして、約30億円の申告漏れを指摘されました。うち約5億円は他人名義で売買した株の売却益で、悪質な所得隠しと認定され、追徴税額は無申告加算税や重加算税を含め3億数千万円に上ったということです。(国税当局から指摘を受けた追徴税は、すでに完納しているとのことです)
 その上、8月21日には、ロシア宇宙局は、榎本さんが健康上の問題でソユーズに乗船できないことを発表しました。
 8月24日付のブログには、「ひとまずは日本に戻ろうと思う。そして治療を行い、再度GMKを突破して、訓練を再開するという手順になると思う。次のフライトまでは半年以上あるので、問題ないとも言われた」と記載されています。
 今回、ソユーズに乗船できないとなると旅行費用の23億円はどうなるのか、健康上の理由とはどのような内容なのか、完治できるのかなど、様々な疑問が湧いてきます。
 裸一貫で50億円の資産を得て宇宙旅行に挑戦する、本当であれば立志伝中の美談として、大きな拍手が寄せられるはずの話題です。しかし、そうならないのはなぜでしょうか?榎本さんの今後に注目していきたいと思います。
参考:榎本大輔さんの公式ブログ「DICE−K.com」
宇宙旅行:元ライブドア取締役・榎本大輔さん、「最後の」医学検査でNG
毎日新聞社(2006/8/22 北海道版夕刊) 
◇宇宙旅行、夢のまま
 【モスクワ杉尾直哉】ロシア宇宙局は8月21日、史上4人目の宇宙旅行者となることを目指していた元ライブドア取締役で投資家の榎本大輔さん(35)について、9月14日に打ち上げ予定のソユーズ宇宙船には乗せない方針を明らかにした。同局のパナリン報道官は、タス通信に対し、「医学検査の結果による」と語った。
 榎本さんの代わりに、イラン系米国人女性、アニューシャ・アンサリさんがソユーズに乗り込む可能性が高く、一両日中に最終決定がなされるという。
 榎本さんは現在、モスクワに滞在中で、打ち上げ準備の訓練を受けてきた。ロシア宇宙局は「本人の意向」を理由に榎本さんへの直接取材を拒否している。榎本さんは21日付の自身のホームページで「宇宙まであと24日。訓練残す所後2日。最後の検査と言う事で病院に行きCTを撮った」などと書き込んでいた。
 契約金は約2000万ドル(約23億円)で、国際宇宙ステーションに約1週間滞在する計画だった。

株売却益、30億円を申告漏れ 宇宙旅行計画のライブドア元役員
読売新聞(2006/7/14) 
 ライブドア(LD)元役員で投資家の榎本大輔氏(35)が東京国税局の税務調査を受け、04年分までの3年間の株売却益を全く申告していなかったとして、約30億円の申告漏れを指摘されたことが分かった。うち約5億円は他人名義で売買した株の売却益で、悪質な所得隠しと認定されたという。追徴税額は無申告加算税や重加算税を含め3億数千万円とみられる。
 榎本氏は、日本人初の宇宙観光客。旅行代金の約23億円は、主に株売却益が充てられたという。
 関係者によると、榎本氏は02年、自ら設立したソフトウエア開発会社をオン・ザ・エッヂ(現LD)に株式交換で売り、同社取締役になった。03年6月に退社。同社株売却益などを元手に複数のIT企業の株を購入し、04年までに約30億円の売却益を得たとされる。
 ところが榎本氏はこれらの売却益を全く申告していなかった。また、売却益のうち約5億円は知人名義の口座を使って得ており、国税局はこの分を意図的な所得隠しと認定し、重加算税の対象とした模様だ。
 榎本氏は千葉県出身。高校卒業後に米国の大学に留学。オン・ザ・エッヂ退社後は投資ビジネスを続け、資産総額は一時、約50億円に達した。
○旅費23億円高いか、帰ればわかる 榎本氏、NASAで会見
 【ワシントン=上田俊英】申告漏れが明らかになった榎本大輔氏=写真=が13日、テキサス州の米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターで、国際宇宙ステーション(ISS)へともに向かう飛行士らと飛行を前に記者会見した。「朝起きたら無重力、というのがどういうものか。地球や星や太陽や月がどう見えるのか。自分の目で確かめたい」と語った。
 宇宙旅行は米スペースアドベンチャーズ社が企画し、榎本氏は世界で4人目、日本人としては初の旅行者となる。9月中旬にロシアの宇宙船ソユーズで米ロの飛行士と出発し、ISSで1週間ほど過ごす。費用は2千万ドル(約23億円)。「帰ってきたときに、旅費が高いか安いかわかると思う」と話した。
 申告漏れについての質問には、「税金の行き違いがあった事実はありました。国税局から指摘されて、去年のうちに支払いは済ましております」と答えた。