9月1日、9月定例県議会に上程される補正予算の内示が行われました。債務超過に陥った県住宅供給公社(住宅公社)と県土地開発公社(土地公社)に対し、総額694億円の公費を投じる、県の支援スキームが議会に示されました。
これによると、2公社の債務超過分は、全額が県費の一般会計からの支出で処理されることになります。これに併せ、知事・副知事、公社の幹部の指導監督責任、経営責任を明らかにするために、給与や退職金などから総額3800万円あまりをカット、返納を受けることになりました。
住宅公社の債務超過は主にバブル期に大量購入した土地を、その後の地価需要の低迷で売却できないまま抱え込んできたのが原因です。公社が現在抱える保有地約330ヘクタールの8割以上は89年度〜93年度の5年間で購入されました。橋本知事の就任は93年9月で、前竹内藤男知事時代の大きな負の遺産とも言えます。
●債務超過分を10年分割払いで清算
県住宅公社などの債務超過に対する県の処理スキームは、「10年分割払い」方式となりました。債務超過額が住宅公社約461億円、土地公社約97億円と膨大な額に膨れ上がっているため、単年度の一括処理は、現在の県の財政状況が許しません。また、起債等によって資金を調達することも出来ないため、毎年10分の1の金額を補助金として2公社に投入します。それだけでは、民間金融機関の金利が膨らむため、債務超過分を一括して2公社に貸し出しし、2公社は民間金融機関に繰り上げ返済を行います。残り10分の9は、年末に公社から県が返済を受け、次年度は10分の1を補助金で、10分の8を貸付金として支出していきます。この繰り返しで、10年間で債務超過分を解消する計画です。
結果的には、債務超過分694億円はすべて県民の税金が投入されることになります。
他県の例では破綻処理が適用され、県の負担が軽減された事例もありますが、茨城県は民間金融機関からの借り入れに対して、県が債務保証を行っており、今回のようなスキームが検討されました。
●知事・副知事ら引責、給与と退職金をカット、歴代役員に退職金返納を求める
694億円もの公費投入を行う前提として、橋本昌知事らの責任を明確にするために、給与や退職金のカットが提案されました。知事は、自らの給料を10月支給分から3カ月間50%カットし、今期の退職金も20%を返上します。副知事らもほぼ同様に減額する。住宅公社の歴代役員計15人に対しても、退職金の100%〜10%分の返納を求めることにしています。
責任問題で給与カットするのは知事のほか角田芳夫、川俣勝慶両副知事。角田副知事は住宅公社理事長に就いていたため、知事と同様に給料を3カ月間50%カットし、退職金20%を返上します。今年4月就任したばかりの川俣副知事も退職金20%を返上します。知事ら三人の給与・退職金のカット額は計約2636万円になります。
このほか、元副知事の人見実徳氏も、在任中に公社理事長を務めたため、当時の副知事給料20%の3カ月分相当(約60万円)の返納を要請します。
住宅公社役員の責任問題では、1989年度〜93度に理事長を務めた元出納長に対し退職金の全額相当(約600万円)の返納を要請します。同時期の理事長以外の元役員計4人には退職金の20%相当、94年度以降の元役員計10人にも退職金の10%相当の返納を求めます。各元役員に対しては9月1日、月内をめどに公社に返納するよう要請しました。元役員らの返納見込み額は総額1240万円になります。
これによると、2公社の債務超過分は、全額が県費の一般会計からの支出で処理されることになります。これに併せ、知事・副知事、公社の幹部の指導監督責任、経営責任を明らかにするために、給与や退職金などから総額3800万円あまりをカット、返納を受けることになりました。
住宅公社の債務超過は主にバブル期に大量購入した土地を、その後の地価需要の低迷で売却できないまま抱え込んできたのが原因です。公社が現在抱える保有地約330ヘクタールの8割以上は89年度〜93年度の5年間で購入されました。橋本知事の就任は93年9月で、前竹内藤男知事時代の大きな負の遺産とも言えます。
●債務超過分を10年分割払いで清算
県住宅公社などの債務超過に対する県の処理スキームは、「10年分割払い」方式となりました。債務超過額が住宅公社約461億円、土地公社約97億円と膨大な額に膨れ上がっているため、単年度の一括処理は、現在の県の財政状況が許しません。また、起債等によって資金を調達することも出来ないため、毎年10分の1の金額を補助金として2公社に投入します。それだけでは、民間金融機関の金利が膨らむため、債務超過分を一括して2公社に貸し出しし、2公社は民間金融機関に繰り上げ返済を行います。残り10分の9は、年末に公社から県が返済を受け、次年度は10分の1を補助金で、10分の8を貸付金として支出していきます。この繰り返しで、10年間で債務超過分を解消する計画です。
結果的には、債務超過分694億円はすべて県民の税金が投入されることになります。
他県の例では破綻処理が適用され、県の負担が軽減された事例もありますが、茨城県は民間金融機関からの借り入れに対して、県が債務保証を行っており、今回のようなスキームが検討されました。
●知事・副知事ら引責、給与と退職金をカット、歴代役員に退職金返納を求める
694億円もの公費投入を行う前提として、橋本昌知事らの責任を明確にするために、給与や退職金のカットが提案されました。知事は、自らの給料を10月支給分から3カ月間50%カットし、今期の退職金も20%を返上します。副知事らもほぼ同様に減額する。住宅公社の歴代役員計15人に対しても、退職金の100%〜10%分の返納を求めることにしています。
責任問題で給与カットするのは知事のほか角田芳夫、川俣勝慶両副知事。角田副知事は住宅公社理事長に就いていたため、知事と同様に給料を3カ月間50%カットし、退職金20%を返上します。今年4月就任したばかりの川俣副知事も退職金20%を返上します。知事ら三人の給与・退職金のカット額は計約2636万円になります。
このほか、元副知事の人見実徳氏も、在任中に公社理事長を務めたため、当時の副知事給料20%の3カ月分相当(約60万円)の返納を要請します。
住宅公社役員の責任問題では、1989年度〜93度に理事長を務めた元出納長に対し退職金の全額相当(約600万円)の返納を要請します。同時期の理事長以外の元役員計4人には退職金の20%相当、94年度以降の元役員計10人にも退職金の10%相当の返納を求めます。各元役員に対しては9月1日、月内をめどに公社に返納するよう要請しました。元役員らの返納見込み額は総額1240万円になります。
補正予算案 2公社支援に695億円
朝日新聞(asahi.com 2006年09月02日)
県は9月1日、752億円の9月補正予算案を発表した。前年度の70億円を大きく上回り、予算案の9割以上を占めるのが、多額の債務超過に陥っている外郭団体「県住宅供給公社」と「県土地開発公社」への支援事業費695億円。バブル崩壊後の地価下落で膨らみ続けた借金の返済に税金を投入する。橋本昌知事は「管理責任をとる」として、知事ら幹部の退職金と給与を一部カットし、1989〜03年度の住宅供給公社の理事長ら役員に退職手当の返納を要請する。
元役員に返納要請も
住宅供給公社をめぐっては、北海道などで債権を放棄する特定調停が成立した例もある。しかし茨城県の場合、民間金融機関からの公社の借入金は、県が全額補償する契約を結んでおり、債権放棄は困難とみて、今回の支援事業に踏み切った。
このような事態を招いたことについて、橋本知事は会見で「県政の責任者として指導監督責任をとる」と説明。退職手当のカットなどを盛り込んだ条例案を5日開会の9月定例議会に提出する。
具体的には橋本知事、角田芳夫副知事の2人は、給与50%3カ月と今任期の退職手当を20%削減する。今年4月に就任した川俣勝慶副知事は退職手当のみ20%削減する。削減額は計2636万円。
また、89〜03年度に同公社の役員を務めた15人に対し、計1240万円の返納を要請、同公社の運営費にあてるという。89〜93年度の同公社理事長については、責任を最も重くみて、退職手当の100%相当額の返納を要請する。
責任問題について橋本知事は「他県を参考にしながら、しっかりと責任をとっているとわかるようにした。県民から理解をいただけたらと思っているが、これでけりがつくとは考えていない」と弁明した。
今回の支援事業で、住宅供給公社へは416億円を計上。すでに計上している貸付金を含め、債務超過の461億円を県が肩代わりする。県は補助金や貸付金で、利子が生じる民間金融機関からの借入金566億円のうち406億円を繰り上げ返済する。繰り上げに使う貸付金などについては、今後10年間で10分の1ずつ補助し、実質県が負担する。残りの借入金は、同公社が保有する土地を処分して返済する=グラフ参照。
土地開発公社への支援は279億円。住宅供給公社同様、債務超過の97億円は、県が肩代わりし、残った民間金融機関からの借入金226億円について、県債を発行して返済する。
2公社の債務がここまで膨らんだ大きな要因は、90年代初頭を中心に買い占めた土地の値段がバブル崩壊によって下落したことによる。住宅供給公社の場合、減損会計によって、簿価で791億円あった資産は、時価評価で281億円まで下落。05年度決算で510億円の評価損が明らかになった。
2公社は今後、具体的な販売目標などを盛り込んだ改革工程表に沿って、10年後のすべての土地処分を目指す(住宅供給公社は05年から実施)。しかし、「現状を考えると厳しい」(住宅供給公社幹部)との見方もあり、さらに債務が生じる可能性もゼロではない。これ以上の税金投入を防ぐためにも、県の管理徹底がさらに重要となりそうだ。
公共事業や医師確保に57億円
県は2公社の支援事業のほか、補正予算案に57億円を計上した。厳しい財政状況から、緊急性の高いものに重点を絞った。
大部分の52億円は道路整備などの公共事業費。そのほか、医師不足地域での医師確保のため、大学医学部の修学資金の一部貸与者数を当初の5人から18人に拡大し、1600万円を新たに計上。また環境問題の観点から、石油からではなく、古古米やくずいもなどの植物を利活用したプラスチックを研究・製造する施設を北茨城市に整備するための助成費5億円を新たに盛り込んだ。
長谷川徳之輔・明海大不動産学部教授の話
道義的責任の給与カット、政治的責任の陳謝はあるが、多額の税金を使った責任はうやむやにされるのが必至。時期については、これ以上先延ばしができなくなり、他県の様子をみて踏み切ったのだろう。先送りは大組織の常。このような悪例を追及して、県が抱える本質的な問題を明らかにするべきだ。