高崎市内の放射性核種観測所 10月9日、北朝鮮は近く核実験を行ったと公表しました。こうした核実験に対する包括的核実験禁止条約(CTBT)に基づく国際的な監視体制の整備が進められています。日本はCTBTを1997年7月に批准しました。米国、中国などが批准していないため、条約自体は発効していませんが、ウィーンに本部を置くCTBT機関準備委員会が国際監視制度として、1.地震波、2.放射性核種、3.水中音響、4.微気圧振動の4分野の観測所を整備しています。世界337カ所に監視網の設置を進め、1キロトン程度の小規模な核爆発でも探知できるようにします。
 国内では計10カ所の施設を設置する計画で、東海村に本拠地を置く原子力機構では、「放射性核種観測所」を沖縄県と群馬県高崎市の2カ所に、「放射性核種実験施設」を東海村に整備しています。
 高崎・沖縄の放射性核種監視観測所は、核実験で大気中に放出される特有の微量放射性核種を高感度の観測システムで検出するものです。地下核実験の場合、地震波の監視により異常検知を行い、さらに大気中に放出された放射性核種を監視することにより総合的な評価を行います。
 東海実験施設は観測所では検出できない極めて微量な放射能を分析し、核実験の有無を判定します。現在、本部の試験を受けるなどして準備に取り組み、来年には本格稼働する計画です。さらに本部から送信される全世界のデータを解析するコンピュータープログラム製作も進めています。
(写真は、高崎市内の放射性核種観測所)
参考:核不拡散科学技術センターのHP


放射線観測データ、ネットで公開 環境省
朝日新聞(2006/10/17)
 環境省は10月17日、国内12カ所で観測している大気中の放射線の測定値について、インターネット上で公開を始めた。北朝鮮の核実験発表を受け、同省は観測頻度を高めるなど態勢を強化しているが、こうしたデータを一般でも入手できるようになった。
 閲覧できるのは、1週間前から前日までの速報値で各地点の最大、最小値や平均値など。同省がデータを確認してから流すため更新は1日1回。ただ、空間放射線(ガンマ線)やアルファ濃度などの観測値がそのまま並び、研究者の利用を想定している。
 同省は00年度から、北海道利尻島や新潟県佐渡島、長崎県対馬など日本海側の離島を中心に酸性雨の測定施設を活用して放射線測定を実施。国内外の原発事故や核実験などの影響を把握するため、ガンマ線や気象データを測定したり、大気中の浮遊塵(じん)を採取したりしている。
 17日の閣議後の記者会見で若林正俊環境相は「北朝鮮の核実験公表とはたまたま時期が重なっただけ。今のところ異常なデータは出ていない」と語った。
 公開システムのホームページアドレスはhttp://housyasen.taiki.go.jp/