11月17日、笠間市議会は「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」の規定に基づき、「笠間市議会解散に関する決議」を全会一致により可決し、自主解散しました。
笠間市議会解散に関する決議

 平成18年3月19日、笠間市・友部町・岩間町3市町の合併により、新しい笠間市が誕生して8カ月が経過しようとしている。
 我々笠間市議会議員は、合併協議会での決定により、3市町の議員が新笠間市においても引き続き2年間在任することになり、今日まで旧市町時代に抱える懸案事項や新市における市民サービスにおける地域間の格差是正などを課題としてよりよい新笠間市をつくるべく、3市町の住民の代表としての認識のもとに議会活動を行ってきた。
 しかしながら、いわゆる平成の大合併により誕生した地方自治体のなかには、在任特例により脹らんだ議会の存在が否定され、相次いで議会解散の住民直接請求、そして、住民投票が行われ、その結果、議会が解散させられた経緯がある。
 笠間市においても例外ではなく、既に議会解散の住民直接請求が受理され、11月26日には我々笠間市議会の解散を問う住民投票が行われることになっている。
 既に、議会解散を問う住民投票が確定した今日において、住民投票の結果を待つよりも自主的に解散することが市民の負託に対する我々の最大限の配慮と考える。
 よって、地方公共団体の議会の解散に関する特例法第2条の規定に基づき、笠間市議会を解散する。
 以上決議する。
平成18年11月17日
笠間市議会

 議会が自主解散したため、11月26日に行われる予定であった笠間市議会の解散投票については、行われないことになりました。
 更に、市選挙管理委員会が開催され、笠間市議会議員選挙の日程が、告示日:12月17日(日)、投票日:12月24日(日)と決まりました。議員定数は、30人から28人に削減されています。平成18年9月2日現在の有権者数は、66,160人(内訳は、笠間地区24,339人、友部地区28,481人、岩間地区13,340人)です。
笠間市議会が自主解散 全会一致 在任特例で県内初
茨城新聞(2006/11/18一面)
 「合併在任特例を適用している議会が財政を圧迫している」として、笠間市の市民団体「笠間市をよくする会」(磯部幸克会長)が市議会の解散を請求した問題で議会は定例議会最終日の十七日、自主解散決議案を議員提案し全会一致で可決した。在任特例をめぐる一連の議会解散運動で、自主解散が成立したのは県内で初めて。この結果、二十六日に予定された議会解散の是非を問う住民投票は行われない。議員は即日失職し、四十日以内に定数二八で出直し市議選が行われる。

 自主解散決議案は、議会運営委員長の議員提案となり、起立採決方式を取った。議運の須藤勝雄委員長が「議員の職務を全うすることが基本だが、住民投票の結果を待つことなく自主的に解散することが住民の負託に対する最大限の配慮」と提案理由を説明。
 市民団体のメンバーら傍聴者が見守る中、在籍議員全員の四十八人の賛成で可決が決まると、議場内に拍手が起きた。
 議会終了後、会見した大関久義議長と畑岡進副議長は「投票や報酬にかかる経費削減と、住民の意思を尊重し各議員が判断した。結果に敬意を表したい」と語った。傍聴した「よくする会」笠間支部長の戸嶋富治さん(80)は「当然の結果だが、時代に応じた決断で議会の良識は市民にも評価される」と述べた。
 解散により住民投票は即日終了し、約四百八十人分の期日前投票は無効となる。市選管によると、発行済みの投票用紙費用などを除く経費約千二百万円が削減された。
 市議会は合併時の笠間・友部・岩間三市町の議員五十三人(後に五人辞職)が二〇〇八年三月までの二年間在任することが法定協で決まり、今年三月の合併から在任。市民団体は、有権者数の三分の一を超える約二万六千六百人の署名を集め議会解散を直接請求した。
 県内では今年に入り在任特例を適用した議会の解散運動が相次いだ。城里町(二月)、常陸太田市、常陸大宮市(以上七月)、桜川市(八月)の四カ所で、いずれも住民投票が行われ、九割前後の賛成で議会が解散。
 全国では山梨県南アルプス市議会、愛媛県四国中央市議会などが自主解散している。
【笠間市議会解散を求める住民運動の経過】
2006年6月26日 市民団体「笠間市を よくする会」が在任特例を適用した議会の解散運動を開始。理解を求めるチラシを配布
7月19日 議会の自主解散と議員定数削減を求め議会に要望書を提出
7月28日 議会は「法定協の決定を尊重する」とし、市民団体の要望を拒否する回答
8月1日 市民団体は議会の回答を不服とし議会解散の直接請求に向け署名運動を開始
9月4日 約1760人の署名を添え議員定数を30から25に削減する条例案を直接請求
9月5日 市民団体は有権者の3分の1を超える署名簿を市選管に提出
9月8日 市民団体の請求に基づき市長は定数削減の条例案を市議会に提案。議会側は調査特別委を設置
10月11日 市民団体が約26600人の署名を添え議会解散を本請求
10月20日 議会側は全協で自主解散と定数を28に削減することで合意
11月6日 在任特例を巡り議会解散の是非を問う住民投票が告示
11月17日 議会は県内初の自主解散を全会一致で可決
12月24日 定数28で出直し市議選の投開票が行われる
【解説】笠間市議会が自主解散を選択した背景には、市民団体が法定数を大きく超える有権者の署名を提出、「市民の世論」を無視できない状況に追い込まれたことが第一にある。これまでに県内四市町で行われた解散を問う住民投票は、いずれも賛成が圧倒的多数で解散。結果が見える投票前に議会内の風向きは「解散やむなし」に変わった。
 議会が主に主張してきたのは「合併法定協の決定を尊重する」「住民代表の役割を果たす」という二点。法定協では三市町議会の議員報酬の格差を据え置くなど配慮した面はある。ただ在任期間や定数を法定上限いっぱいにした決定などに疑問の声もあった。いずれも「合併をスムーズに進めることが優先され、異論は出なかった」(市議)というが、結果的に法定協の審議の在り方も問われた形だ。
 議会は住民投票でかかる費用約千八百万円や、四年後以降に県議選と市議選を同日選挙にして費用を削減することも検討し、勇退予定の議員らにも根回しを行い自主解散で合意。特別の弁明や主張も行わず、投票回避の決断を下した。
 対する市民の役割は、議会を解散させることだけで終わってはならない。今回は財政面のみに批判が向けられたが、出直し選挙で候補者の公約や能力を吟味するとともに、行政のチェックを怠らないことも重要。合併に伴う行財政改革の意識を行政、議会、市民の中にも浸透させる機会としてほしい。