11月19日、鹿島鉄道(土浦市)は、石岡〜鉾田駅間の鹿島鉄道線について、2007年3月末で鉄道事業から撤退する意向を、鹿島鉄道対策協議会の席上表明しました。
 これを受けて、県と沿線四市でつくる鹿島鉄道対策協議会は、路線存続のため6億5千万円を上限に拠出し、新たな運営会社の公募を行う方針を決定しました。
 協議会では、第三セクター方式や上下分離方式では、地元自治体が鉄道の式や施設などの資産を所有しなくてはならず、財政的に困難との見解で一致しました。その上で、鹿島鉄道に対して経営支援の形で5年間に6億5千万円の拠出を全会一致で決定しました。一方、鹿島鉄道側は、安全運行と利用者への適切なサービス提供には、最低でも11億円の支援が必要であるとし、経営継続の断念を表明しました。
 鹿島鉄道対策協議会では、新たな事業者の公募を11月27日から2週間受け付けるとしています。具体的な条件は、今後検討されます。鉄道資産の譲渡についても、有償か無償かは決まっていません。
 鹿島鉄道の存続を求める市民団体「鹿島鉄道存続再生ネットワーク」は、19日新会社を設立し、公募に応募することを表明しました。
参考:鹿島鉄道存続再生ネットワークのHP
鹿島鉄道 運行者を公募/市民団体が名乗り
朝日新聞(2006/11/20)
 鹿島鉄道(石岡―鉾田)の存廃を沿線4市と県が話し合う鹿島鉄道対策協議会(会長・横田凱夫石岡市長)が19日、石岡市で開かれた。自治体側は来年度以降も財政支援を継続する意向を示したが、同鉄道側が存続を固辞したため、同鉄道への支援を打ち切ることで合意した。一方、同鉄道の代わりに運行を担う事業者を公募することを決め、改めて鉄道存続の道を模索し続けることになった。
 同対策協議会では初めに、02〜06年度の5カ年計画で支援してきた方式と同様、来年度以降も5年間、6億5千万円を上限に支援を続けることで意見が一致した。
 しかし、同鉄道の小野里忠士社長は、親会社の関東鉄道が支援を打ち切る方針に変わりがないことを報告したうえで、「(利用客の増加など)需要環境が伴わないといけないので、6億5千万円をいただいても適切なサービスが提供できない」と、存続の意思がないことを改めて表明した。
 これを受け、自治体側は同鉄道への支援断念を了承。代替バスの準備を始めることにしたが、鉄道存続の可能性を探ろうと、同鉄道の代わりに鉄道運行を担う事業者を公募することを決めた。
 公募は今月27日から来月11日まで、石岡市役所内の対策協議会事務局(0299・23・1111)で受け付け、1週間の審査を経て公表する。事業者が決まれば、自治体側は今後5年間、財政支援を行うが、鉄道施設は応募者が鹿島鉄道と交渉するなどして、譲渡を受けることが必要となる。
 同対策協議会終了後、会長の横田・石岡市長は「従来の形で存続できなかったのは残念だが、今後の公募に期待したい」と語った。小野里社長は施設の譲渡について、「地域の足として必要な公共事業。残すとなれば全面的に協力したい」と話した。
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 市民グループ「鹿島鉄道存続再生ネットワーク」(長谷川功代表)は19日、新会社を設立し、この日、同鉄道対策協議会が打ち出した公募に応募することを明らかにした。
 長谷川代表によると、これまで利用者の立場から存続活動として、寄付予約や住民集会などを進めてきたことから、同鉄道の運行継続を目指し、協議会の公募締め切りの12月11日までに応募するとしている。
 新会社は当面、1億円の運転資金を集める予定で、鉄道運行会社の許可を取ったり、社員教育をしたりする約1年間は、これまで通り鹿島鉄道に運行を依頼。そのため同鉄道と独自に交渉したいとしている。
 資金のめどについて、長谷川代表は「企業や個人から数千万円の提供の申し出がある。寄付予約で約2200万円が集まっており、これも了解を得られれば組み込みたい」という。
 出資金など応募の問い合わせは同ネットワーク(0299・23・0922、URL http://www.geocities.jp/kasimirai2006)へ。
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 鹿島鉄道対策協議会が、鉄道事業者の公募を打ち出したことについて、沿線の中高生らでつくる「かしてつ応援団」応援団長の小川高校3年鬼沢友里さん(17)は「支援を打ち切るのは残念だが、事業者を募集するということに望みをかける。応援団としても、見つかるように努力していく。望みがあるので頑張りたい」と話した。
 この日、石岡市のスーパーの勤務帰りに鹿島鉄道を利用していた小美玉市の倉持勝江さん(67)は、20年以上、時間帯に応じてバスと鉄道を併用してきたという。「バスは自宅近くを通っているが、土日は本数が少ない。バスより鉄道は速いし、安い。もし、廃線で代替バスになったら、どんな時間にどこを走るのかが心配だ。車を運転するのも危ないし、鉄道があれば便利なのだが……」と鉄道の存続に期待をかけていた。