出生率1.26に大幅下方修正、55年に8993万人
読売新聞(2006年12月20日21時30分)
 国立社会保障・人口問題研究所は12月20日、2055年までの人口変動を予測する「日本の将来推計人口」を公表した。
 女性が一生に産む子供の数である合計特殊出生率は、前回(02年)の推計では1.39で安定するとしていたが、今回は1.26まで大幅に下方修正した。
 人口は2055年には8993万人まで減少する。少子高齢化がさらに予想を上回って加速することで、現役世代が高齢者を支える公的年金などの設計の見直しを迫られそうだ。
 人口推計は、国勢調査に合わせてほぼ5年に1度公表され、年金の給付水準を決める年金財政の再検証に利用されるほか、今後の経済成長などの予測にも参考にされる。
 出生率については、標準的な「中位推計」は05年の1.26を起点に、上下しながら2013年前後に1.21程度にまで下がり、その後は55年の1.26まで緩やかな回復が続くとしている。楽観的な「高位推計」は1.55まで回復するが、悲観的な「低位推計」は1.06まで低下するとした。
 現行の公的年金は、出生率が1.39まで回復するという前回推計を基に設計され、「給付水準は現役世代の収入の50%以上を確保する」としている。しかし、その前提となる出生率の推計がずれたことで、長期的には年金設計の抜本的な見直しが不可欠となりそうだ。
 少子化が加速した主な要因は、結婚しない女性の増加だ。1990年生まれの女性の生涯未婚率は、ほぼ4人に1人の23.5%と推計した。計算方法は異なるが、前回推計の生涯未婚率(85年生まれ)は16.8%。晩婚化も進み、平均初婚年齢は前回より0.4歳遅い28.2歳だった。
 働き手として経済活動の中心となる15〜64歳の人口は、05年の66.1%から、30年に58.5%、55年は51.1%まで低下する。現在、働く世代が3人強で1人のお年寄りを支えているが、30年には1.8人で1人を支え、55年には1.3人で1人を支えることになる。0〜14歳の人口は、現在13.8%だが、30年9.7%、55年8.4%と低下していく。
 一方、人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、05年の20.2%から、23年に30.0%に達し、55年の40.5%へと倍増する。
 平均寿命は、05年は男性78.53歳、女性85.49歳だが、2030年では男性81.88歳、女性88.66歳まで延びる。55年には男性83.67歳、女性90.34歳まで平均寿命が延びる。
 厚生労働省は今回の推計結果を受け、来年1月にも、年金財政への影響の暫定的な試算を公表する予定だ。

参考写真
 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は、5年一度、直近の国勢調査の結果を基に、「日本の将来推計人口」を公表しています。今回の推計にあたっては、昨年の国勢調査が基本となっています。社人研の人口推計は、高めの値になることが指摘され、年金問題の際も2050年には合計特殊出生率が1.39まで回復するとされていました。今回、その出生率見込みは1.26と大きく下方修正されました。今後、様々な方面でこの人口推計が大きな話題となることは確実です。
 20日夜、茨城県や日立市の人口推計を検討しようと、社人研のHPを開こうとしましたが、アクセスが集中しているのか、アクセスすることができませんでした。インパクトが強い話題ですので、仕方がないかもしれません。
参考:国立社会保障・人口問題研究所のHP
参考:日本の将来推計人口(平成18年12月推計)