飲酒運転などを厳罰化、後部座席のシートベルトも義務化に
 12月28日、警察庁は飲酒運転対策の大幅な強化などを打ち出した道路交通法の改正試案をまとめました。
 それによると、飲酒運転の車に同乗したり、酒や車を提供したりするなど飲酒運転を助長、容認した人にも罰せられる罰則を新設し、運転者の罰則も引き上げることになります。ひき逃げの厳罰化や車の後部座席のシートベルト着用義務化も盛り込まれました。
 この改正案は、インターネットなどでのパブリックコメントを受け入れ、来年の通常国会に提出される予定です。
参考:「道路交通法改正試案」に対する意見の募集について
道路交通法改正のポイント
●飲酒運転に対する罰則の強化
 酒酔い運転をした本人の罰則は従来の「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」から「5年以下、100万円以下」となり、酒気帯び運転も「3年以下、50万円以下」に引き上げる。
 また、酒酔い運転・酒気帯び運転の罰則引上げに伴い、薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転した場合の罰則についてもそれぞれ同様に引き上げることとします。
 これらの違反行為に関する下命・容認に対する罰則についてもそれぞれ同様に引き上げます。
●飲酒運転をするおそれのある者に対する車両提供等の禁止
 飲酒運転を根絶するためには、運転者の周辺で飲酒運転を助長することとなるような行為が行われることを防止していく必要があります。
 そこで、酒気を帯びていて飲酒運転をするおそれのある者に対して車両を提供した者についても、車両の提供を受けた者が飲酒運転をした場合には、飲酒運転をし
た者と同等の罰則を設けることとします。
 また、同様に酒気を帯びて車両を運転するおそれのある者に対して酒類を提供して飲酒させた者についても、その飲酒した者が飲酒運転をした場合には、飲酒運転
をした者と同等の罰則を設けることとします。
 提供を受けたものが酒酔い運転をした場合は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」、酒気帯び運転をした場合は、「3年以下、50万円以下」となる。
●酒気を帯びた者が運転する車両への同乗の禁止
 あらかじめ運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者が飲酒運転する車両に同乗する行為について、一定の範囲内で罰則を設けることとします。
 また、当該同乗した者が運転免許を受けた者である場合には、行政処分の対象とすることとします。
●救護義務違反に対する罰則の強化
 ひき逃げ事件の発生を防止するため、車両の運転者が当該車両の交通による人の死傷があったにもかかわらず、当該死傷者の救護等を怠った場合の罰則を、現行の
「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」から「10年以下、100万円以下」に引き上げます。
●欠格期間の延長
 悪質・危険な運転者について長期間車両の運転ができないようにするため、酒酔い運転で死亡事故を起こしたり、救護義務に違反するなどの悪質な違反行為をして
運転免許を取り消された場合の欠格期間(運転免許取消後、新たに運転免許を受けることのできない期間)の上限を、現行の「5年」から「10年」に引き上げます。
●飲酒検知拒否罪に対する罰則の強化
 警察官から呼気検査を求められたにもかかわらず、これを拒否した運転者に対する罰則について、現行の「30万円以下の罰金」から「3月以下の懲役又は50万円以
下の罰金」に引き上げます。
●高齢運転者対策等の推進
 高齢運転者に係る交通事故防止を図るため、75歳以上の高齢運転者に対しては、免許の更新の際に、運転に必要な記憶力、判断力等の認知機能に関する検査を行う
こととし、その結果に基づいた高齢者講習を行うことによって、高齢運転者の安全運転継続を支援していきます。
 また、当該検査の結果、認知症のおそれがあるという結果が出た者のうち、検査の前一定期間内に一定の違反行為を行っていた者又は検査の後に一定の違反行為を
行った者については、専門医による臨時適性検査を受けなければならないこととします。
 現在、高齢運転者の安全確保等の観点から、70歳以上の高齢運転者については、一定の場合に、高齢運転者標識を表示して運転するように努めなければならないこ
ととされており、高齢運転者標識を表示した自動車に対して、幅寄せや割込みをした運転者は処罰されることとなっていますが、特に安全確保等を図る必要の高い75
歳以上の高齢運転者については、高齢運転者標識の表示を義務付ける(表示義務違反について罰則を設ける)こととします。
●後部座席のシートベルトの義務化
 現在、自動車の運転者は他の者を後部座席に乗車させて自動車を運転するときは、その者に座席ベルトを装着させるように努めなければならないこととされていますが
事故発生時のシートベルトの被害軽減効果を踏まえ、自動車の運転者は、後部座席についても座席ベルトを装着していない者を乗車させて自動車を運転してはならないこ
ととします。