実質1兆89億9300万円の超緊縮予算
 2月21日、県の平成19年度予算案が県議会に内示されました。
 それによると、一般会計は前年度を3.5%上回る1兆602億8100万円となりました。しかし、債務超過に陥っている県住宅供給公社と土地開発公社の対策費として計上した512億8800万円を除くと、1兆89億9300万円となり、対前年度比1.5%減の6年連続の減額予算となりました。
 不足する財源を補うため一般財源基金から177億円を取り崩し、来年度末の基金残高は約68億円と、過去最低の水準となります。
 歳入では県税収入が4160億円(対前年度比21.4%、733億円増)を計上しました。うち法人二税(法人住民税、法人事業税)が企業収益の伸びなどを受けて、1476億円(19.0%増、336億円増)となりました。個人県民税は税源移譲と定率減税の廃止などで大きく伸びて999億円(86.6%増、464億円増)。県税収入は、バブル期の水準を超えるまでの数字となっています。反対に、地方交付税は前年度同額の1570億円を計上しましたが、平成17年度の1820億円と比べると250億円もの大幅減となっています。県債は1080億円となり、前年比で6.9%の減となりました。
 一方、歳出は人件費や公債費などの義務的経費が4942億円(0.6%減)で、歳出全体の46.6%を占めています。異例の職員給与の3.5〜5%カットを断行して、警察官の62人増員や退職手当の増加分を抑えました。公共事業などの投資的経費は1603億円で、8.6%の大幅減となりました。公共事業の縮減や重点化を進め、国補事業は常陸那珂港の整備にはほぼ倍増の41億5500万円をつぎ込み、圏央道整備も8.6%増の62億4100万円を充てました。茨城空港関連道路など、緊急性の高いプロジェクト関連事業費も確保しました。
 新聞報道によると、橋本知事は「この予算は目玉がないのが一番の特色」と、認めるほど苦心惨憺の予算編成であったようです。人件費の増大や公社対策費などに手足の自由を縛られ、禁じ手とのいえる職員給与の2年間カットというウルトラCの手法で予算を組み上げたと言えます。県税収入が過去最高レベルになっていながら、地方交付税の大幅削減で、これほどの苦労を強いられる予算編成は、国の地方切り捨ての象徴ともいえるのではないでしょうか。
 予算編成の内容を見ると、工夫や努力の跡はうかがえます。少子高齢社会を迎え、少子化対策や医療・福祉対策、社会的に大きな問題となっているいじめに象徴される教育施策などに重点をおいたことは、全体的には評価できます。しかし、細かい施策を観てみると、永年、県内の青年達の人材育成の場となっていた「いばらき青年の船事業」や地域のボランティア団体などから人気が高かった「ご近所の底力再生事業」などが、廃止・縮小されています。厳しい予算編成であっても、人材や地域コミュニティを育成する施策は維持すべきであったと思います。