随意契約の落札率は99.6%と高止まり
 2月28日、県の包括外部監査の結果が公表されました。包括外部監査とは、1999年度から都道府県などに導入が義務付けられた制度で、外部の公認会計士や税理士が県行政について総合的に監査するシステムです。18年度の監査人は、公認会計士の今野利明氏でした。
 2006年度の包括外部監査の対象になったのは、05年度の委託料です。県土地開発公社への土地取得委託を除く3951件、550億円相当の委託契約の中から147件、92億9400万円分の契約を抽出して、監査を行いました。
 監査報告によると、委託業務の契約を締結するに当たって、指名競争入札を実施した場合の落札率が、05年度96.6%、03〜05年度の三年間の平均が94.8%だったのに対し、随意契約の場合は05年度99.3%、03〜05五年度平均99.66%と高止まりの傾向にあることが判明しました。
 特に出資団体等との随意契約の場合、三年間の平均落札率は99.9%に達し、「契約相手の見積もりに従い予定価格を設定していることがうかがえる」と指摘しています。
 その上で、「適正な予定価格の設定とともに、随意契約をすることの合理的な理由があらためて問い直されなければならない」として、一般競争入札を広く導入することを提言しました。県全体で年間総額550億円に及ぶ委託料の金額を考えれば、「個々の事務の改善努力が数%の効果であっても大きな財源となり得る」と結論づけています。
平成18年度包括外部監査の報告から
「平成17年度の委託料について」
 巨額の財源不足が見込まれる中、各事業の予算は年々縮小傾向にある。
しかしながら、このような状況の中でも従前と同質な住民サービスの提供を行っていくためにはそれなりの努力が必要である。
個々の委託事業の予算規模はそれほど大きくないとしても県全体としては年間で約550億円に達する。(つくば地域市街地開発事業等用地の取得等を除く)
 今回監査の対象とした指名競争入札による契約は50件、契約金額で14億700万円、また、随意契約の件数83件、契約額は71億100万円である。それぞれの平均落札率は以下のとおりであった。
指名競争入札の場合
平成15年度16年度17年度3年間合計
予定価格総額
(百万円)
1,1931,3711,4574,021
落札額総額
(百万円)
1,1311,2721,4073,810
平均落札率94.8%92.8%96.6%94.8%

随意契約の場合
平成15年度16年度17年度3年間合計
予定価格総額
(百万円)
7,152 6,902 7,149 21,203 l
契約額総額
(百万円)
7,129 6,883 7,101 21,113
平均落札率99.7%99.7%99.3%99.6%

 委託事業の効率的な執行には、適正な予定価格の設定と入札における競争条件の確保が重要である。適正な予定価格が設定されているなら、落札率が高い場合でも落札額又は契約額の適正性はある程度担保されることとなるが、そのような価格の設定は現実的には非常に困難であるっ それ故競争条件の確保が重要となる。
 随意契約は、委託業務の内容が入札に馴染まないことから採用され競争条件の確保が成立しない契約である。したがって、適正な予定価格の設定とともに、随意契約をすることの合理的な理由が改めて問い直されなければならない。
 今回の監査において適正な予定価格の設定、競争条件の確保、随意契約の合理性等に関して改善すべき点が多く見られた。また、落札率も上記のように高止まりの状況にある。
 今後、委託に係る個々の事務の改善努力が数%の効果であるにしても、総額550億円規模から考えると大きな財源となりうる。