2月21日、岐阜県は、「岐阜県地球温暖化対策地域協議会」及び「岐阜県循環型社会形成推進協議会」を開催し、国内の自治体としては初めて、「カーボン・オフセット(Carbon Offset)」への取り組みをスタートさせました。
参考:カーボン・オフセット県民運動を推進します(岐阜県)
参考写真 カーボンオフセットとは、日常生活による二酸化炭素の排出を相殺するために、植林や自然エネルギーの利用をしようというものです。2005年7月にイギリスのエリオット・モーレイ気候変動・環境担当大臣は、飛行機旅行におけるCO2排出を植林することによって相殺するために、搭乗者に募金を呼びかけました。
 これを受けて、英国航空がイギリス政府の支援を得て、カーボンオフセットを具体的に実施しています。英国航空の利用客は、05年9月より、インターネット上でフライトで排出される分を相殺する金額を寄付することができます。例えば、ロンドン〜マドリッド間の往復で5ポンド(約1000円)、ロンドン〜ヨハネスブルグ間の往復で13.3ポンド(約2700円)となります。
 岐阜県の事業は、県民や事業者に二酸化炭素削減に関する具体的な行動として「大気環境木」(大気浄化能力に優れ、かつ岐阜県の植生に適した樹木を選定したもので、現在44種。例:アカマツ、キリ、ケヤキ、シダレザクラなど。)の植栽のための寄附金を募集します。岐阜県地球温暖化防止活動推進センターが寄附金で大気環境木を購入し、それらの提供を受けて、県が小中学校等での大気環境木の説明及び植栽を実施します。500円以上の寄附をした個人・団体名はホームページで公表し、積極的な参加を動機づけます。
 茨城県でも森林環境税の導入の議論が進んでいます。こうした折に、もう一度県民の意識を高める手法としても、「カーボン・オフセット」を研究してみても良いかもしれません。
参考:カーボンオフセットについて(環境情報普及センターのEICネットより検索
脱温暖化社会へ 「京都の約束」まで1年:CO2相殺 出した分は自分で減らす
朝日新聞(2007/1/4東京夕刊) 
 東京都江戸川区の主婦、平良るみ子さん(51)は昨年(2006年)11月、オーストリアのバイオマス(生物資源)発電施設などを見て回るエコツアーに参加した。ただ、自分が乗った飛行機も、地球温暖化の主な原因である二酸化炭素(CO2)を出したことが気になった。
 ジェット燃料によるCO2排出量は乗客1人あたり往復で約2トン。日本人1人の年間排出量の5分の1にあたる。平良さんは環境NGO「シー・ティー・エフ(CTF)」(東京)に頼み、出したCO2を相殺してもらうことにした。
 CTFは、中国・内モンゴルなどで実績がある別のNGOに植林を依頼。約4千円でモンゴリマツ約300本を植えてもらう。今回の欧州旅行で出たCO2は約20年で吸収される計算だ。
 「Carbon To Forests(炭素を森に)」の頭文字を取ったCTFは、これまでに新婚旅行や出張で排出されたCO2約100トンを相殺している。「有意義な旅行だったので、行くのを我慢せずに汚した分を戻せるのはうれしい」と平良さんは話す。
 自分が出した分のCO2を自分で減らす動きが広がっている。植林や自然エネルギーによる発電などに協力することで元に戻す。「カーボンオフセット(炭素相殺)」「カーボンニュートラル(炭素中立)」などと呼ばれる。
 「グリーンゴール」を掲げた昨夏のサッカー、ドイツW杯では、期間中に増えたCO210万トンを、牛の糞(ふん)からつくったバイオガスを家庭燃料にするなど途上国での事業で相殺した。
 国内では、一青窈さんが夏のコンサートやベストアルバム作製にかかったエネルギー分のCO2をアフリカ・ウガンダでの植林で相殺した。坂本龍一さんのように、グリーン電力証書を活用して相殺するミュージシャンも増えている。
 昨年末から東京・丸の内エリアの一角を彩っているイルミネーションの電力約8万キロワット時も、今回からこの証書で相殺されている。
 風力や太陽光など自然エネルギーによる発電コストは、電力会社への売値より高い。このため、訪れた人たちに300円で20キロワット時分の証書を買ってもらい、差額を埋め合わせる仕組みだ。
 4千人が証書を買えば、イルミネーションの電力はすべて自然エネルギーでまかなわれたと見なされ、CO2は出ていないことになる。
 証書を買った東京都内の女性(28)は「環境は大事だけどイルミネーションがないのは寂しい。工夫をすれば両立できるのね」。この冬は、丸の内以外でも札幌、川崎、神戸など全国各地のイルミネーションのCO2が相殺された。
 この証書による05年度の電力量は5400万キロワット時。01年度の10倍以上だが、日本の発電量の0・01%にも満たない。植林による相殺を仲介する会社も出始めたが、まだまだ扱い量は少ない。
 海外に目を向けると、CO2を相殺する会社が約30社あり、急激に拡大している。「カーボンニュートラル」は、米国の主要な辞書が選ぶ06年の「今年の言葉」大賞にも選ばれた。
 国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問の末吉竹二郎さんは「CO2の相殺は企業評価につながり、ビジネス戦略に位置づけられてきた。しかも企業だけでなく、地域や個人などのレベルでも取り組めるのが、この手法の優れたところだ。今年はさらに広がるだろう」と予測する。