「懲りない面々」とはよく言ったもので、選挙が近づくと共産党によるデマ宣伝が横行してきます。
 この統一選を巡っては、共産党はビラなどで、公明党に「増税戦犯」との的外れなレッテルを張ろうと躍起になっています。今年から廃止された「定率減税」は、公明党が言い出したから、公明党は“増税の戦犯”だとでも言いたいらしい。
 しかし、この定率減税の誕生時の状況を、今一度、振り返ってみたい。
 景気対策を目的とした定率減税法案は1999年3月に自民、自由(当時)両党と当時野党だった公明党の賛成で成立しました。その結果、99年から所得税額の20%、個人住民税額の15%が減税されました。しかし、共産党は、前年の98年に行われた特別減税に比べて「定率減税ではサラリーマンの7〜8割は増税になる」などと批判。最後まで定率減税法案に大反対したのです。
日本共産党の衆議院予算委員会での討論
(平賀高成衆院議員・1999/2/19)
 予算案に反対する理由の第一は、戦後最悪の不況でありながら、国民の大多数に対して減税という名の増税を押しつけ、ただでさえ落ち込んでいる国民の所得を奪って、消費不況をさらに悪化させようとしていることです。
 所得税、住民税で4.3兆円規模の減税といいますが、一部の高額所得者は98年に比べて1.3兆円の減税、これに対して、大多数の中低所得者に対しては1兆円の増税なのであります。これでは一昨年の9兆円負担増に次ぐ第二の失政となりかねません。2.3兆円の法人税減税も、中身は大企業減税であります。今やるべきは国民の最も望む消費税減税であり、これに背を向けた予算案は、緊急課題の景気回復にも役に立たないだけでなく、国民の支持も得られません。

参考写真 それに対して公明党は、定率減税が見送られれば、結果として国民により多大な負担増をもたらすと判断し、定率減税法案に賛成しました。当時、公明党は参院でキャスチングボート(政策の決定権)を握っており、公明党が反対すれば定率減税は見送られる状況にありました。経済状況が極めて厳しい中で、公明党の「英断」がなければ定率減税は実現しなかった、と言っても過言ではありません。
 それを共産党は、定率減税に反対した事実をひた隠しにし、自ら反対した定率減税をあたかも“錦の御旗”として、減税実現の“立役者”である公明党を批判しているのです。「増税戦犯」批判は共産党が意図的につくり出した笑止千万のデマであり、共産党に公明党を批判する資格などどこにもありません。
 一方、公明党が2003年の衆院選マニフェスト(政策綱領)で「定率減税の見直し」を掲げたのは、周知のように、定率減税廃止に伴う税源を年金財源に生かすためでした。
 当時、共産党を含む全党一致で決めた基礎年金国庫負担割合の3分の1から2分の1への引き上げについて、その2.7兆円もの毎年度必要となる財源をどう手当てするかが問われていました。
 しかし、自民党は最後まで明確な財源に踏み込まず、民主、共産両党は「公共事業の削減」などと十年一日のごとく非現実的で無責任な財源論に逃げ込んでいました。
 これに対して公明党は、既に政府内で「景気の動向次第で定率減税は廃止」と言われていた事態を重視。定率減税の打ち切りを座して待つのではなく、基礎年金財源に活用すれば、年金負担の軽減につながり、結果的に、国民に還元されるとの結論に至ったわけです。
 定率減税の創設自体に反対した共産党に、定率減税廃止の議論に参加する資格はありません。
(このブログは、公明新聞2007年2月23日付記事をもとに掲載しました)