井手よしひろは完全禁煙化を強く主張します
 茨城県庁の全面禁煙に、県議会が待ったを掛けた形になってしまいました。3月13日に行われた県議会総務企画常任委員会で、茨城県たばこ耕作組合から出された「県庁の分煙化を求める請願」が、自民党会派の賛成多数で採択されました。公明党と共産党が完全禁煙に賛成の立場から反対し、民主党は継続審議とし態度を明確にしませんでした。
参考写真 茨城県の男性の喫煙率は53.8%と全国平均の46.8%を大きく上回っています。心筋梗塞の最大の要因は喫煙です。脳血管死亡率においても男女とも全国と比較して高いレベルにあります。県は、県民の生命と健康を守る責務があり、知事は率先して、喫煙対策に取り組む必要があります。 
 4月1日から県が計画している全面禁煙といっても、庁舎の外側に2箇所の喫煙スペースが設けられます。喫煙者の権利(嗜好)は十分守られると思います。請願の採択には何ら法的な効力はありません。県は、たばこ耕作組合と真摯に交渉し規定の方針通り、庁舎内の喫煙所の廃止を行うべきだと改めて主張します。
たばこ耕作組合が分煙化を請願
4月からの県庁舎前面禁煙に対して

常陽新聞(2007/3/14)
 県が四月実施を目指す庁舎内全面禁煙に対して「県たばこ耕作組合」(二重作茂兵衛組合長)が反発。庁舎内分煙化を求める請願を開会中の県議会三月定例会に提出し、県議会総務企画委(細谷典幸委員長)は十三日、この請願を採択した。継続審議を求めた委員は民主党委員一人だけで即日採決され、公明、共産の女性委員二人が不採択を表明、細谷委員長を除く自民党委員七人が全員採択に回った。全面禁煙を目前にして委員会が分煙化を支持した形となり、今後、橋本昌知事の対応に注目が集まる。
 県は二〇〇三年五月施行の健康増進法を受けて、〇四年六月、それまで庁舎内に二十カ所あった喫煙コーナーを四カ所(四、九、十一、二十三階)に減らし、分煙型の喫煙室を整備した。〇五年十一月には「循環器疾患の予防に関する検討会」が、本県が脳卒中や心臓病など循環器疾患の死亡率が全国的に高いレベルにあることから「県庁は率先して庁舎内禁煙にすべき」と提言。
 これを受けて県は昨年四月、職員に禁煙に積極的に取り組むことや、受動喫煙の危険性を十分認識して防止を心がけるよう周知徹底を図り、九月には週一日の禁煙デーを、十月以降はそれを週二日に増やして、本年四月からの全面禁煙に向けて地ならしを進めてきた。
 これに対して同組合は、国の施策では受動喫煙防止のための措置や喫煙室設置が求められており、庁舎内全面禁煙とする内容ではないと主張。喫煙は自らの嗜好(しこう)と健康への影響判断次第であり、周囲への喫煙マナーが守られれば、喫煙者、非喫煙者の協調ある共存が大切として完全分煙化を求めた。
 加えて、県の葉たばこ生産額が〇六年度は二十八億七千万円で、本県畑作物五位の基幹作物の一つであり、さらに〇五年度の県へのたばこ税納入額が六十四億八千万円、県内市町村にも二百四億円を超す税を納め、財政にも大きく貢献をしているとも主張。「法令に認められた『葉たばこ生産』および『製造たばこの販売』を通じ、喫煙の楽しみを届けるとともに、たばこ税を通じて国および地方自治体への貢献を果たすことに対し、今後とも強い責任感を持って取り組む」と胸を張っている。
 同法施行以来、県内市町村では庁内全面禁煙に取り組む所も増え、社会的にも禁煙への流れは色濃い。一方で、職員の給与カットにも踏み込み、危機的な財政状況の克服に取り組む県や、各市町村にとって貴重な税収の一つであるのも事実。本県農業への貢献も見逃せない。そして今回の委員会採択で示された判断も大きい。「たかがたばこ、されどたばこ」。橋本県政に突如、突きつけられた課題は意外に重い。

 茨城県医師会は、県民の健康を守る立場から県庁の完全禁煙化を強く主張しています。平成16年には喫煙所の存続に対して3100名の署名を添えて、存続反対の意見書を提出しています。
 以下、昨年(06年)5月に公表された県庁全面禁煙化への声明文を掲載いたします。
県庁舎は全面禁煙にすべき!−県庁喫煙室存続について抗議−
茨城県医師会の声明(2006年5月24日)
心筋梗塞の死亡率が全国トップランクに位置する本県において、その最大の要因である喫煙対策は積極的に取り組むべき事例のひとつであります。
本会では、平成15年4月に「茨城県医師会禁煙推進宣言」を行い、県民の健康を考える立場から、「時代は禁煙」をスローガンに、非喫煙者を受動喫煙による健康被害から守ること、子供たちや若年者、妊婦への禁煙啓発活動をはじめ、禁煙を推進するために自治体関係各方面に対しての働きかけを行ってまいりました。
平成16年、茨城県庁舎内に新たに喫煙所が設置される際には、約3100名にわたる署名と共に設置見直しの申し入れを行いましたが、本県が全国で二番目に公立学校敷地内全面禁煙を打ち出していたにもかかわらず、喫煙所10箇所が4箇所に減ったのみで、なんら根本的な解決には至らなかった経緯があります。
今回、茨城県は、医師や有識者で構成する「循環器疾患の予防に関する検討会」を設置し、全国でもトップランクに位置する本県の心疾患に起因する死亡率の改善等を検討いたしました。その結果、喫煙率の低下が必要であるとの提言をまとめ答申を受けていたにもかかわらず、県は、来庁者と県庁職員に対するアンケートをもとに、この3月に従来の庁舎内喫煙所(4箇所)を存続することを発表しました。
メタボリックシンドロームの予防など、息の長い取組みも必須でありますが、身近で最大のリスクファクターである喫煙対策に対して積極的でない県の姿勢は看過ごしがたく、「たばこによる深刻な健康被害が県民に十分に周知されているとは言えない」「県庁が範を垂れ、喫煙を積極的に抑制する姿勢を明らかにすることが大きな意味を持つ」ことなどを掲げた『県庁舎建物内喫煙室の存続方針についての見解と抗議』を県総務部長に行いました。
日本は、平成17年2月にWHOの「たばこ規制枠組み条約」に批准しました。これは、たばこが健康に及ぼす悪影響から現在および将来の世代を保護することを目的とし、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制とたばこの規制に関する保健分野の国際協力に関するわが国の積極的な姿勢を示す上で大きな意義があるものです。
本県における男性の喫煙率は53.8%と全国平均の46.8%を上回っています。心筋梗塞の最大の要因は喫煙です。脳血管死亡率においても男女とも全国と比較して高いレベルにあります。
 茨城県医師会をはじめとした医療団体や、県行政が喫煙対策に対して真剣に取り組まない限り、県民の健康を守れないと本会は考えています。