ヒマワリの種を原料とするバイオディーゼル燃料(BDF)の研究開発に取り組む筑波大発のベンチャー企業「サンケァフューエルス」は4月9日、JR常磐線土浦駅周辺で、まちづくり活性化バス「キララちゃん」にヒマワリBDFを使っての試乗会を実施しました。試乗会では、土浦駅周辺のコースを10分ほど走行しました。運転手の関東鉄道土浦営業所の石井重喜さんは「普段と変わらない走り心地。パワーもある」と感想を述べています。(常陽新聞2007/4/10付けより引用)
 今後、サンケァフューエルス社は、土浦市内の日立電線工場の一部を借用して、ヒマワリBDFを製造するためのパイロットプラントを建設中で、プラントは5月中旬に完成する見込みです。7月以降をめどに、ヒマワリBDFを使った本格運行のための長期テストを始める予定です。
 BDFは、植物油が原料ですので、地域に併せた油糧植物を用いた持続的生産が可能で枯渇の心配がありません。また、そもそもCO2の排出に対して、カーボンニュートラルであると認められており、地球温暖化防止につながる環境に優しい燃料です。しかし、その反面品質の劣化も軽油などと比較して早いため、保存方法には注意が必要で長期保存には不向きです。
 また、寒冷地使用において「フィルター目詰まり点」「流動点」、及びバイオディーゼル使用時の「馬力・トルク回転数の降下」が指摘されており、サンケァフューエルス社では、BDFに加える添加剤を開発しています。
筑波大発VB、ヒマワリ燃料をバス向けに出荷・7月に試験走行
日経新聞(20067/4/10)
 筑波大学発ベンチャー企業のサンケァフューエルス(茨城県つくば市、若林恒平社長)はヒマワリの油から作り出すバイオディーゼル燃料をバス向けに出荷する。植物由来のため排ガス中の環境汚染物質を減らす効果があるとされる燃料で、同燃料搭載のバスの試験走行が7月にも始まる。これに先駆けて同社は同燃料を安定供給する試験プラントを稼働させる。
 同社はヒマワリの種の油をメタノールと反応させてディーゼル車用の燃料を作る技術を持つ。ヒマワリ燃料は軽油と比べて50%以上二酸化炭素を減らす効果があるとみられ、軽油の代替需要が見込まれる。
 特定非営利活動法人(NPO法人)「まちづくり活性化バス土浦」(小松重雄理事長)が土浦市内で運行する小型循環バス「キララちゃん」にヒマワリ燃料を積み、7月に試験走行を始める。最低3カ月かけてエンジンなど金属部品への影響を調べる。「安全性などに問題がなければ、継続利用したい」という。

参考:サンケァフューエルス社のHP
ヒマワリ種でバイオ燃料 プラント完成、開所式 土浦
茨城新聞(2007/5/16)
 ヒマワリの種を原料にしたバイオディーゼル燃料(BDF)の実用化に取り組むサンケァフューエルス(若林恒平代表取締役)の本社事務所兼研究所とパイロットプラントが土浦市内に完成し、開所式が5月15日、同市木田余の現地で開かれた。7月から燃料生産を開始し、当面は市のバスや公用車などに使用される。
 同社は2004年6月に、筑波大発32番目のベンチャー企業として応用生物学系の松村正利教授(現サンケァフューエルス取締役会長)らにより設立された。
 事務所兼研究所とパイロットプラントは、約2490平方メートルの敷地内に約2億5000万円かけて建設された。7月からBDFの生産を始め、10月ごろから日量1トンを目指す。
 BDFは土浦市内を循環しているまちづくり活性化バス「キララちゃん」や市の公用車、西日本鉄道(本社福岡市)のバスなどに供給され、各種データを収集する。
 開所式には関係者ら多数が出席。松村会長、中川清土浦市長、吉武博通筑波大副学長らがプラントの前でテープカットし、開所を祝った。