日比経済連携協定(EPA)の目玉として注目されていた、フィリピン人看護師と介護福祉士の受け入れが遅れています。先のブログ「外国人の看護師・介護福祉士を受け入れ」(2006/12/6)で記載したように、日本では昨年12月に、国会の承認手続きが完了したのですが、フィリピン側の承認手続きが遅れているためです。
参考写真 これは、日本側は協定発効後、2年間で看護師希望者400人、介護福祉士希望者600人を受け入れの予定ですが、その数が少ないという、フィリピン側の不満が原因のようです。
 フィリピンの看護師は優秀と評判で、すでに海外50カ国が受け入れており、17万人以上がさまざまな国で働いています。フィリピンは英語が公用語ですから、米国、カナダ、英国など英語圏で働くにはコミュニケーションの問題も少なくとけ込みやすいのですが、日本ではまず言葉の壁を乗り越えなければなりません。とくに看護師、介護福祉士は医療の現場で働くわけですから、医師や日本人の看護師、患者たちとスムーズな意思の疎通を図るためにも、日本語の習得は必須です。
 フィリピン人の看護師、介護福祉士は、入国後6ヶ月間、日本語研修と導入研修を受けて現場に配属され、その後、一定期間内に国家試験に合格しなければなりません。期間は、看護師が3年以内、介護福祉士は4年以内となっています。介護福祉士の場合は、養成学校に入学するコースもありますが、いずれにしても試験は日本語で行われますし、それに合格しなければ帰国しなければならないという条件は変わりません。
 このようなこともあって、フィリピン側の議会承認が遅れているとも考えられますが、看護師、介護福祉士の労働市場開放は、もともとフィリピン側の強い要請があって決まったものです。また、日本の将来の高齢化を支える力としても海外からの人材導入は、今後必要なことになっていくでしょう。フィリピン人の看護師、介護福祉士の受け入れがどうなっていくのか、日比経済連携協定の今後が注目されます。(この記事は公明新聞の記事を参考に記載しました)