地球温暖化対策を世界的規模で検討している国連機関IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は5月4日、温暖化効果ガスの排出を減らすためのコスト計算を公表しました。
 それによると、最も厳しい削減のシナリオで、産業革命前比べて気温を+2℃以内に抑え込むために必要なコストは、2030年の世界の国内総生産(GDP)の3%に相当すると予測しました。
 この報告書は6種類の温暖化効果ガスをCO2の値に換算して、その安定化を図る濃度レベルを、6つのレベルに分けて削減のシナリオを明示したことに特徴があります。
CO2濃度
(ppm)
排出ピーク年2000年に対
する2050年の
増減%
産業革命前に
比べた気温
上昇(℃)
445〜4902000〜2015-85〜-502.0〜2.4
490〜5352000〜2020-60〜-302.4〜2.8
535〜5902010〜2030-30〜+52.8〜3.2
590〜7102020〜2060+10〜+603.2〜4.0
710〜8552050〜2080+25〜+854.0〜4.9
855〜11302060〜2090+90〜+1404.9〜6.1

 今後日本は、こうしたIPCCの予測をもとに、CO2削減の長期ビジョンの策定を急ぐ必要があります。すでに、ヨーロッパ(EU)諸国は、2005年3月の首脳会議で、気温上昇を産業革命前に比べて2℃以内に抑えるという目標を決めています。さらに、今年3月には、その実現のために「2020年までに1990年比でCO2の20%削減。2050年までに先進国で60〜80%削減」する計画を定めています。
 来年夏に日本で行われる「洞爺湖サミット」は、地球環境問題サミットともいわれています。日本は、早期に削減の行程表を決定し、そのホスト役として、強いリーダーシップを取ることが期待されます。
世界のGDP3%でCO2大幅削減可能、国連部会が報告書
読売新聞(2007/5/4)
 【バンコク=森太】国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第3作業部会は4日、バンコクでの総会で、地球温暖化を止める対策をまとめた第4次評価報告書を採択して閉幕した。
 報告書では、費用をかけさえすれば、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量は大幅に減らせると指摘。最も厳しい削減シナリオを採った場合、削減コストは2030年の世界の国内総生産(GDP)の最大3%に相当すると予測した。
 報告書は、CO2に換算した温室効果ガス1トン当たり20ドルの削減費用をかければ、2030年には90億〜180億トン、100ドルなら160億〜310億トンの削減が可能だとしている。世界の温室効果ガス排出量は現在、森林伐採によるCO2吸収量の減少分も含めてCO2換算で年460億トン。これが、何の対策も取らなければ2030年には537億〜817億トンになると予測した。
 対策にかかるコストは、現在380ppmの大気中のCO2濃度を、445〜535ppmで安定化させるという最も厳しい削減シナリオを取った場合、世界のGDPは2030年に最大3%、50年に最大5・5%小さくなると予測するなど、三つの濃度パターンでGDP縮小幅を示した。
 今回の報告書が、温暖化は止められるというメッセージと、そのための対策やコストを選択肢として示したことは、今後本格化する2013年以降の国際的な削減の枠組みとなる「ポスト京都議定書」の交渉に大きな影響を与えそうだ。