
永井院長はこの4月から、定年退職をされた大倉久直氏の後を受け院長に就任しました。東京大学医学部を卒業し、フンボルト奨学生としてドイツ・ヴュルツブルク大学に留学。自治医科大学付属病院の副院長を経て、県立中央病院に来られました。「厳しい県立病院改革の最中、医師と看護師、病院職員のやる気をどのように引き出すかが最大の課題」と病院経営への熱い心情を語られていました。また、病床稼働率を向上させるためにも、優秀な看護師をいかに確保するかが大きな課題であると指摘していました。
また、片田救急センター準備委員長からは、県立中央病院の救急外来の現状と今後の取り組みについて、意見を聴取しました。片田医師は、日本医科大学でドクターヘリの立ち上げに参画し、東大医学部付属病院の集中治療部のICUの副部長として活躍した救急医療の専門家です。従来、中央病院は1次救急患者、2次救急患者(中等度重症)の受け入れを行ってきましたが、平成22年度を目標に3次救急患者(緊急処置が必要な重症)の受け入れ可能な病院にするための準備をスタートさせました。4月1日には救急専門医が着任し、今後、血管系疾患の治療・緊急手術に対応するため、血管外科専門医の招聘を予定し、今年7月にはICU(集中治療室)の稼働を準備しています。「東京で助かる患者様を、茨城で助けられない状態をつくってはいけない」との片田医師のことばに、中央病院の改革のエネルギーを強く感じました。
さらに、地域がんセンター長の雨宮医師からは、「がん相談支援センター」についての説明を受けました。「がん相談支援センター」は、がん治療の地域間・病院間格差や治療に対する患者や家族の不安の解消を目指し、信頼のおけるがん情報やセカンドオピニオンの提供を行う機関です。中央病院の患者以外でも、気軽に相談を受けることができます。雨宮医師は、平成18年度の厚労省の研究費補助を受け、今年1月に中央病院内に「がん相談支援センター」を立ち上げました。1月から4月までに144件の相談を受けましたが、その内52件が検査や治療に関しての相談、セカンドオピニオンに関する相談が42件となっています。この「がん相談支援センター」の充実は、国のがん対策の大きなポイントともなっています。
