6月12日開催された県議会土木常任委員会で、井手よしひろ県議は国の策定している「道路整備の中期計画」について、県執行部の考えをただしました。
 昨年12月、「道路特定財源の見直しに関する具体策」が閣議決定され、この内容に従い「道路整備に関する中期的な計画」の策定が進められています。これは、今後5年から10年間の国の道路整備の方向性を示すもので、従来の道路整備5カ年計画とは一線を画し、真に必要な道路のハード、ソフト両面に及ぶ整備や各種の具体的な措置の検討が進められています。地方にとっては、「今まで計画されていた路線であっても中期計画に漏れれば、建設計画は頓挫する」と認識されており、国が行うアンケート調査への回答をはじめ、署名活動や要望活動が活発化しています。この「中期計画」は夏頃までにはまとめられるとされています。
参考写真 質問の中で井手県議は、北関東自動車道、東関東自動車道水戸線、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)など茨城県の発展のために欠くことのできない高規格幹線道路整備を遅滞なく進めること、国道6号、国道4号、国道50号、国道51号の直轄国道については、国が責任を持って4車線化の整備をすること、などを強く国に働きかけることを主張しました。特に、県北臨海部の活性化のために、国道6号日立バイパスの南進を「中期計画」に盛り込むよう要望しました。
 また、すでに完成している常磐道などの既存ストックを有効活用するために、ETCの通勤割引制度の延長(対象距離を100キロから150キロに延長する)、一般有料道路へのETC割引の適用などを国に要望するよう求めました。これは、圏央道や東水戸道路が国の制度上は高速道路ではなく、一般有料道路であるためETC利用の各種割引制度が適用されない現状を改める提案です。
 さらに、道路特定財源の一部を高速道路料金の引き下げに使うとの政府方針を受けて、国道6号線の渋滞緩和のために、平行して走る常磐道の日立南太田〜高萩インター間の通行料金の恒常的な引き下げを求めるよう提案しました。
(写真は国道6号日立バイパス)
参考:「道路整備の中期計画」への茨城県知事のアンケート回答
参考:「道路整備の中期計画」への日立市長のアンケート回答
 また、こうした議論を受けて、土木委員会では国に対しての意見書「道路整備の推進と必要な財源の確保を求める意見書」を発議することになりました。6月議会の最終日に本会議で採択される見込みです。
道路整備の推進と必要な財源の確保を求める意見書(案)
 道路は、日常生活や経済・社会活動を支える最も基本的な社会資本であり、本県の新しい飛躍と県土の均衡ある発展を図り、豊かで安心できる地域社会をつくるためには、道路ネットワークの整備がより一層重要である。
 本県では、これまで、常陸那珂港や茨城空港などの大規模プロジェクトの推進に合わせ、それらを支える高規格幹線道路や直轄国道などからなる道路ネットワークを精力的に整備してきた結果、平成18年の企業立地面積が全国第1位となるなど、経済活動の向上・躍進にも大きく寄与しているところである。
 しかし、ネットワークの全体が完成することで本来の機能が十分に発揮される高規格幹線道路の整備は、未だ6割程度であり、今後も着実かつ早期の整備が求められる。また、直轄国道については、4車線化率が22%と関東で最も低く、依然県内各地で慢性的な渋滞が発生する要因となっていること、県が管理する国県道については、急カーブ等交通危険箇所、幅員狭小箇所、右折レーンがない信号設置交差点等の改善を要する箇所が合わせて3,000以上もあることなど、これらの早期解消が県民から強く望まれているところである。
 このような中、昨年12月、政府において「道路特定財源の見直しに関する具体策」が閣議決定された。今後、政府において、この内容に従い道路整備に関する中期的な計画の策定、各種の具体的な措置の検討が進められると考えられるが、その際、上記の事情に鑑み、次の事項に留意されるよう強く要望する。
  1. 東関東自動車道水戸線、北関東自動車道、首都圏中央連絡自動車道の高規格幹線道路については、環境改善並びに首都圏の防災機能強化のためにも、ネットワークを途切らすことなく、国家的見地から国が責任を持って確実に整備すること。
  2. 国道4号、国道6号、国道50号、国道51号の直轄国道については、地域間の連携を強化し、地域の活力を引き出すために、国が責任を持って確実に4車線化の整備をすること。
  3. 住民の安全・安心を支える道路、平成の市町村大合併の下で適切な行政サービスを提供するために不可欠な道路等、地域が必要とする道路整備が着実に進められるよう配慮すること。
  4. スマートICの推進、ETC割引の一般有料道路への拡大等により既存高速道路ネットワークの効率的活用を図ること。
  5. 国の道路財源制度の見直しに当たっては、地方の道路整備が未だに不十分な現状に鑑み、道路整備を計画的かつ重点的に推進するため、道路直轄事業の地方負担金も含めた道路整備の財源確保について、特段の配慮をすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年 月  日
茨城県議会議長 飯野重男
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
国土交通大臣
財務大臣
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)