7月5日、安倍晋三首相は、通常国会閉幕に伴い記者会見し、公的年金の記録不備問題に関する新たな対応策を発表しました。
 その一つめは、基礎年金番号に統合されず「宙に浮いた」形となっている約5000万件の記録についての照合と通知を、2ヶ月前倒しし、来年3月までに完了するというものです。約5000万件の処理について、当初、記録照合について来年5月までの1年以内に終えるとしていましたが、照合のためのコンピュータープログラムが11月には開発できる見通しとなったために前倒ししました。
 二点店目は、公明党が強く主張していた、全加入・受給者に記録に漏れがないか確認してもらうための「ねんきん特別便」の発送です。「ねんきん特別便」は、来年度から本格的に開始する予定の「ねんきん定期便」の第1回分として、すべての年金加入者と受給者に、勤務していた企業や時期も分かる詳しい内容の加入履歴を通知するものです。
 また、安倍首相は、年金、医療保険、介護保険などの社会保障に関する個人情報を一元管理する「社会保障カード」(仮称)を2011年度をめどに導入する方針を打ち出しました。
 杜撰な社会保険庁の管理によって発生した今回の年期記録問題は、年金保険料を納めながら年金の給付につながらない国民をゼロにすることによって、はじめて解決すると言えます。その意味では、できることは何でもやるという、安倍首相の強いリーダーシップと行動力が不可欠です。