「人柄や態度」からも判断、第三者委が基準決定
 7月9日、総務省の「年金記録確認中央第三者委員会」は、保険料納付記録が社会保険庁になく、本人側にも領収書などの証拠がない場合の年金支給の基本方針をまとめました。同時に示された支給認定される典型例をみると、幅広い証拠を有力な判断材料に挙げており、太田昭宏党代表の「極力、申し立てを採用する方向が大事」という公明党の提案を踏まえた内容になっています。
 骨格となる考え方は、本人からの申し立て内容が「社会通念に照らして明らかに不合理ではなく、一応確からしい」ことを基本に記録漏れの訂正を行い、有力な関連資料などがなくても「総合的に判断」するとしています。
 具体的な判断基準については、例えば国民年金の場合、銀行の出金記録や確定申告書の控え、家計簿などの関連資料や、本人以外の同居の親族が保険料を納付しているなどの周辺事情があれば、「一応確からしい」と判断する。厚生年金の場合は、給与明細、賃金台帳のほか、健康保険、雇用保険、厚生年金基金などの記録を資料として列挙しました。
 有力な関連資料などがない場合も、梶谷委員長は「申立人の人柄や態度などで総合的に判断する。(訴訟法上の原則で裁判官の自由な判断に委ねる)自由心証主義だ」と明言しています。
 このほか、給付の判断基準を分かりやすく示すために支給が認められるモデルケースを国民年金3件、厚生年金1件の事例をまとめ公表しました。
 国民年金の事例のうち、夫婦で30年以上保険料を納付したのに妻の納付記録が3カ月分ないケースでは、現在まで長期的な継続納付の実績があるにもかかわらず、1回かつ短期の未納付期間があるのは不自然と考えるとともに、同居の夫に未納期間がないことを考慮して、支給を認めることを明示しています。
年金支給認定の有力な資料
 関連資料の例判断を助ける
周辺事情の例
国民
年金
・銀行口座の出金記録
・確定申告書の控えなど
・家計簿の記載
・未納期間の回数が少数
・未納期間が短期間
・未納期間中、同居の親族は納付
厚生
年金
・給与明細、賃金台帳
・健康保険、雇用保険、厚生年金基金の記録
・人事記録、雇用主の証言
・委託先の社会保険労務士が保管する被保険者台帳