定例記者会見で、橋本県知事が語る
 7月10日、橋本昌茨城県知事は定例の記者会見で、2009年度中の開港を目指す茨城空港(航空自衛隊百里基地民間供用空港)の就航対策で、国内の就航先として想定している4路線のうち、北海道と大阪の2路線を軸に、各航空会社へのセールスを進める考えを明らかにしました。
 橋本知事は、国の旅客調査の数値を挙げながら「福岡や沖縄よりは関西圏あるいは北海道が優先されると思う」と述べ、「路線として何とか成り立つということであれば、福岡、沖縄についても(航空会社に)お願いしたい。路線はできるだけ多いほうがいいし、限定せずに状況によって重点を変えるようにしたい」と、これまで通り基本的には4路線の就航を目指す考えを強調しました。
 国の旅客調査によると、全交通機関を対象にした本県と北海道、大阪間の年間の2000年度の往復旅客数は、それぞれ約39万人と約38万人で、福岡の約17万人、沖縄の約6万人を大幅に上回っています。
 これまで、県は北海道(新千歳)、大阪、福岡、沖縄(那覇)の四路線の就航を想定し、本県と各都市間の所要時間などを盛り込んだパンフレットを作製して県内外にPRしてきましたが、当面、北海道・大阪を最優先して就航させる決意を示したものです。
参考写真
○茨城空港の就航対策について
橋本昌県知事の定例記者会見(2007/7/10)

朝日(幹事社):まず、茨城空港についてなのですが、先日、知事は、全日空を訪れて、会長にトップセールスをされたと思うのですが、その中身といいますか、具体的に何をお話しになったのかという点と、それから、路線就航について、2路線を重点的にやるのか、それとも4路線すべて目指していくのか、改めてお考えをお伺いしたいと思います。

知事:先日訪問したのは、平成21年度の開港が近くなってきたということと、それから、その可能性がかなり確実になってきたということを踏まえて、まず、現在の状況をご説明し、将来、全日空さんにもぜひご利用いただきたいということでお伺いしたわけです。 
 具体的な中身としては、空港の整備状況、それから、周辺の整備状況などとあわせて、空港活用範囲の人口とか、その地域に住んでいる人の特色、例えば、関西系の企業もたくさんあるとか、そういったことを申し上げてきたところでして、主に、関西方面や、農業などで大変関係が深い北海道のことなどを話してまいりました。 
 あちらからは、今、羽田、成田という大きな問題も控えて、いろいろと需要予測などをやっている最中であるけれども、茨城空港についてもこれから一緒に勉強していきましょうという感じの段階でして、まだまだ具体にこうしましょうというような話が出る状況にはございません。 
 県としても、ANA総研にいろいろ空港の活用方策について(検討を)お願いをしておるところでありますので、そういったことなどについても説明をしてきたところです。

朝日(幹事社):そうしますと、知事のお考えとしては、大阪と新千歳の2路線があくまで重点路線になるということなのでしょうか。

知事:需要がたくさんあれば別なのですが、全国幹線旅客純流動調査などを見ていましても、数的に、沖縄とか、福岡よりは、関西圏、あるいは北海道が優先するのかなと思っております。 
 ただ、路線として何とか成り立つということであれば、福岡、あるいは沖縄についても私どもとしてはお願いをしたいと思っております。できるだけ多いほうがいいですから、そういう点では、限定してしまうということではなく、これからの状況によってお願いの重点も変えていきたいなと思っています。

朝日(幹事社):先日の利用促進懇話会の場で、全日空の方が、着陸料を大幅に引き下げれば飛ぶのではないかみたいなこともおっしゃっていたと思うのですが、その点について、着陸料、あるいは施設使用料。

知事:着陸料の性格上、どういう形でやれるのか、着陸料を決める算定方式があるみたいですから、そういう中で何ができるのか、我々としても検討していきたいと思います。

IBS:先ほどの茨城空港に関連して、需要予測をやっているということだったのですが、平成22年度には羽田空港にD滑走路ができる予定です。それで、どういうふうに需要が流れていくかというのはわからないわけなのですが、県としては、茨城空港をどういう方向に、早く方向づけたほうがいいのかなと思うのですが、利用方法ということで、貨物優先なのか旅客優先なのか、そのあたり、いつごろまでに、どういう方向づけを。

知事:それはあくまで旅客優先です。将来的に貨物空港として活用していくということは十分考えられますが、当面、滑走路の舗装の厚さからしても大型貨物機向けになっていませんから。旅客向けの整備をしているところですので、貨物優先というわけではありません。あくまで、活用方策として、あの舗装の厚さでも利用できる貨物を扱ってくれるのであればお願いしていこうということです。もし本格的な貨物空港にするのだったら、小松空港も改修していますが、そういうことをやらなくてはいけません。どうも誤解を招いてしまっているようなのですが、あくまで、我々としては、旅客空港として整備を進めている。そして、その中で、貨物便なども含めて、貨物便だってそんなに重いものばかりではないですから、そういうものも含めて、貨物をある程度入れられるようになればありがたいとか、あるいはまた、国際チャーター便とか、いろいろな活用方策を考えようということで、今、ANA総研に委託をして本格的に勉強しているところです。 
 最近はビジネスジェットなどという話も大分出てきておりますし、プライベートな飛行機を入れてもいいのではないかということも言われております。例えば、成田とか羽田だと、海外から個人専用機で来たいのだけれども、なかなか入る場所がないというようなことも言われていますから、そういうものに茨城空港を使っていただくということも考えられると思いますし、今、いろいろな活用方策を検討してもらっています。

産経:先ほど大阪と新千歳を重点ということをおっしゃいましたが、この2路線だけだと、当初の年間80万人でしたか、相当厳しい予測が成り立つと思うのですが、いかがでしょうか。

知事:先ほど申し上げた全国幹線旅客純流動調査によると、例えば、関西圏だけで176万人行っている。そのうち航空機を利用しているのは18万6,000人、鉄道が149万7,000人となっておりますが、こういう数字を見ておりますと、羽田だとかなり遠いものですから、新幹線で行っている人も、茨城空港ができればこちらに移ってくる割合が大分あるのではないかと思います。それから、先ほど申し上げましたように、ビジネスジェットとか、あるいは国際チャーター便、今も具体にそういうことについて検討したらどうかというような話も来ておりますから、必ずしもそんなに減らないでいけるのだろうと思います。

朝日:リージョナルジェットとか、あるいは格安航空、そういうものの就航を図るという点で、国に何らかの規制緩和などを働きかけていくようなお考えはございませんでしょうか。

知事:今、そういう規制緩和を特別にお願いしなくてもできるのだろうと思っています。ただ、先ほど来、話に出ている貨物空港とかも含めて、空港を使いやすくするには、24時間化が必要だということはいろいろな関係者から言われておりますが、そういったことが今すぐ検討対象になってくるというものでもございませんので、これから状況を見ながら、規制緩和その他も含めて勉強していきたいと思っています。